原案:ノエル
作文:ルーク
深夜に街灯もない暗いけもの道を必死に走る男がいた。
その男の名前は沖山竜也。
男は何故けもの道を走っているのか、それも暗闇に包まれ危険が何処に潜んでいるかも分からないまま走り続けた。
右手に持つスマートフォンのライトだけが目の前を照らしてくれる。
しかし今はそんな強い光すらもか細く糸の切れかけたボタンのように感じる。
竜也は逃げていた。
何から…。
それは竜也本人にも分からぬ存在だった。
怒り、恨み、妬み、嫉み、悲しみ、負の感情全てを固めた様な『何か』から逃げていた。
そして竜也の眼前に広がる光景は逃げ惑う者に対し追う者の信念を具現化したかのようなそびえ立つ壁だった。
思わず立ち止まる竜也だが、その肩に何かが触れた。そして『ソレ』が耳元で囁いた。
ミツケタ
第一章-悪夢-
高層ビルや人混みの中を忙しなく行き交う人間達を毎日見ているうちに、日々の生活に対して不満を抱くようになるのは誰にでも起こりうることであろう。
大都会東京で就職し、生活の為とは言え朝から晩までパソコンに向き合い資料を作る。
竜也は一般市場向けのお菓子を作る仕事をしている。業務内容はどの年齢層へ向けた商品であり、どんな見た目をしているか、そのお菓子の味、大きさ、色などを同じ部署の人と話し合い、それを製造会社へ委託して世の中へ売り出す。
それが彼の仕事である。
だが今の竜也は日々の業務に疲れ切っており、些細なミスを連発してしまった事が原因で上司から体の具合を心配され、1ヶ月間の有給を消化する為に伊豆へ来ていたのだ。
東京とは違い自然に囲まれ澄んだ空気を全身に浴びて心からリフレッシュするには最適の環境だ。
伊豆へ到着した竜也は決して豪華とは言えぬものの、1人で連泊するには文句のない旅館にチェックインをし、その日は露天風呂に浸かり寝ることにした。
明日から暫く伊豆に滞在しつつも、旅館で資料作りをしようと決意し床についた。
ふと顔を上げると目の前には一本の道があった。
舗装されているわけでもなく草木が生い茂る一本の道。
周りには光源となる物は一切なく、右手には彼の物と思われるスマートフォンが握られていた。
そして竜也はスマートフォンのライトで辺りを照らすも周囲には闇が広がっていた。
そして何処からから声がした。
ニガサナイ
人の不安を掻き立てるかのような弱々しい女の声だった。
すると背後に人の気配を感じ、思わず振り返ったがそこには誰も居なかった。
しかし竜也はその闇の中から自分自身を見つめる『何か』がいる事を直感的に感じ取っていたのだ。
竜也は何故けもの道を走っているのか、それも暗闇に包まれ危険が何処に潜んでいるかも分からないまま走り続けた。
右手に持つスマートフォンのライトだけが目の前を照らしてくれる。
しかし今はそんな強い光すらもか細く糸の切れかけたボタンのように感じる。
竜也は逃げていた。
何から…。
それは竜也本人にも分からぬ存在だった。
怒り、恨み、妬み、嫉み、悲しみ、負の感情全てを固めた様な『何か』から逃げていた。
そして竜也の眼前に広がる光景は逃げ惑う者に対し追う者の信念を具現化したかのようなそびえ立つ壁だった。
思わず立ち止まる竜也だが、その肩に何かが触れた。そして『ソレ』が耳元で囁いた。
ミツケタ
勢いよく息を吸い込み目を開けると目の前には昨晩目にしていた旅館の部屋が広がっていた。
夢を見ていたのだ。
とてつもなく嫌な夢を。
人の負の感情全てが凝縮された光景を現実で見たかのような気分にさせられる、そんな夢だった。
第一章 完
なんか物語書きたくなって書いてみたけど第二章書くかわからん←気分次第