ボンゾルフが 大地の王となるまでの旅路……
それは4年の修練と 13年の眠りに加え
いにしえの竜の半身との戦いを 経たものだった。
やがて 神代の時代より続いた 双竜の因縁は断ち切られ
崩落したアヴォロ・ボルハラ遺跡の地下は 長き月日を経て
新たに再建されることとなった。
そして 残された竜の血族たちは 新たな生を歩み始めていく……。
ボンゾルフ
「ここまで 本当に長かった……。
「ある時は孤児として ある時は鉱山技師として
ある時は冒険者として 夢の中では勇者や邪神としても。
本当に 本当に……。」
レイセーク
「双竜の終焉を見届けて……
それでも私たちは 立ち続けている。」
ボンゾルフ
「世界の未来を 竜に託されたからな。
「オレは 大地の王になる。
始祖の竜の願いを継いで 大いなる闇の根源によって
蝕まれし アストルティアの大地を 解放するんだ。
「オレたちの戦いは 終わったわけじゃない。
むしろ ここから始まるんだ。」
レイセーク
「……それにしても
どうしてウロボロスは 始祖の竜なんだ?
「竜の始祖といえば
竜族の神ナドラガではないのか。」
ボンゾルフ
「ああ…… それならオレは
ウロボロスの記憶を継承したから 分かるんだ。」
ボンゾルフ
「ウロボロスは いにしえの竜の中でも
はるか原初の時代より生きているが
同じような竜自体は 数多く存在した。
「だが あいつは誇り高き 竜という存在でありながら
人々を愛し 守り続けていた。
「やがて かの竜は人々からも愛され 名前を与えられた。
人と竜を はじめて繋いだ存在……
だからこそ 始祖の竜 と。」
レイセーク
「そういうことだったのか。
ならば かの竜の愛した 人の世を守るために
今度は私たちが 頑張る番だな。」
ボンゾルフ
「ああ……絶対に。」
アイン
「フッ……
天竜の力を消し去った 今のオレに
未来は視えないはずなのに……
「……なぜか視えてしまうな。
きっと お前の未来は とても輝かしい。」
セネク
「まったく 君も良いことを言うね。
「さて 力を失った私たちは
もはや 竜の血族じゃない。
「名前を改め 私たちは
竜の守り人…… というのはどうだろう。
君という存在を 影から支える者たちだ。」
カーシレル
「良いだろう。
偶然にも 私たちがこれからやりたい事は
一致しているようだしな。
「私たちは これからもこの地で
お前の旅路を支えていこう。
剣を振るわぬ生というのも 悪くはない。」
カルトリット
「ここは あなたの家でもあるわ。
あたしたちは このアヴォロ・ボルハラ遺跡で
あなたの帰りを 待ってるね。
「いつでも帰ってきてね ボンゾルフ!
そういえば…… レイセークも行っちゃうの?」
レイセーク
「ああ 私も行ってくる。
だが 私はボンゾルフとは違う場所で 戦おう。」
ボンゾルフ
「……?
それは なぜだ……?」
レイセーク
「なぜなら私は 天竜の血族……
なればこそ 天空を守ることこそが 私の成すべきことだろう。
「お前が大地の王となるように
私は天空の王になるべきだと思っている。
「だが 約束だ。
どこにいようと 私たちは いつまでも一緒だ。
共に守ろう…… この世界を。」
ボンゾルフ
「……なるほどな。
そういうことなら 分かった。
約束だ レイセーク!」
レイセーク
「ああ……!」
ボンゾルフ
「……さて オレはそろそろ行くぞ。
「この先 いかなる戦いが待ち受けているかは 分からない。
だが オレは決して 独りじゃないことを知った。
「お前たちとの絆はもちろん
オレの内に宿る 始祖の竜ウロボロスとの間に
紡がれた 人と竜の絆。
「この絆がある限り オレは決して 倒れはしない。
世界を守るために オレは竜術士として
何度だって立ち上がろう。
「みんな…… 今まで本当に ありがとな!!」
かくして 竜術士ボンゾルフの物語は はじまった。
天と地を統べる双竜は終焉を迎え その願いは大地の王に託された。
彼はこれより 始祖の竜ウロボロスの魂とともに
永遠にも思える 長き旅路を歩むこととなる。
その後の彼の旅路を知る者は少ないが アストルティアの各地で
強大な魔物が現れると そこに現れた男が 竜となりて
全てを薙ぎ払ったという話が いくつも残っている。
それが彼なのかは 知る由もないが
今なおアストルティアは 滅びの未来を迎えることなく 存続している。
竜術士ボンゾルフと 始祖の竜ウロボロス。
彼らの終わらない伝説は 今日もどこかで 続いているのである。
『双竜の終焉と大地の王』
Fin.