潮騒と始まりの記憶:レーンの陽光の下で
白銀の髪が、南国の風にそよいだ。真っ白な砂浜を、素足が優しく踏みしめる。目の前に広がるのは、限りなく青く澄んだコバルトブルーの海。太陽の光を反射してきらめく水面の彼方に、まだ見ぬ冒険が待っている気がした。
ここは、レーンの村。
私――ナズナが冒険者として初めて地を踏んだ、すべての始まりの場所。
ヤシの葉が揺れる音が、潮騒と混ざって耳に心地よく響く。懐かしさに胸が締めつけられた。
私はそっと手にしたビンを見つめる。
「おさかなさんのみるく」――乳白色の液体は、光に透かすと海のきらめきを映し出すようだった。この味、この香り。この小さなビンに、私の原点が詰まっている。
「おかえりなさい、ナズナさん!」
ふと、かつての自分が聞いた村人たちの声が耳の奥で蘇った。無邪気で、無力だったあの日々。誰かの背中に守られながら、それでも一歩ずつ前に進もうとしていた頃の自分。
モンスターに震えながら杖を構えたあの日。仲間と肩を並べ、初めて勝利の歓声を上げたあの日。挫折や涙もあったが、それらすべてが、今の私の力になっている。
あの三角屋根の建物の前で、私は地図を広げ、震える指で初めてクエストを選んだ。どれもが小さな冒険だったが、私にとっては世界そのものの広がりだった。
目を閉じれば、波音が心の奥まで染み込んでくる。
ザーッ、ザーッと寄せては返す波の音。それは、生きている証のようでもあり、時間の流れそのもののようでもある。今の私には、その一音一音が、まるでレーンからの語りかけのように思える。
潮の香りが、鼻腔をくすぐった。少し塩辛くて、けれど、懐かしくてやさしい。
この香りに包まれるたび、私は思い出す。自分がどこから来たのか、なぜ冒険を始めたのか。
「おさかなさんのみるく」を一口。
冷たく優しい甘さが、口の中に広がる。身体の芯から、じんわりと温まるこの味は、旅の途中で私を何度も救ってくれた。戦いに疲れた夜、誰かと別れた朝、迷いの中にいた午後。そのたびに、私はこの味に立ち返った。
水平線の先には、まだ知らぬ大陸が待っている。苦しみもあるだろう。哀しみも、怒りも。だけど、それ以上に、素晴らしい出会いがある。思いがけない友情、心震える勝利、笑顔で満ちる宴。
どんなに遠くへ行っても、このレーンの潮騒は、私の中に生き続ける。
それは、私の「はじまり」の音だから。
私は鞄に、空になったビンを大切にしまい、レーンをあとにする。
潮風が背中を押してくれた。
――さあ、行こう。
これは終わりではない。
ここからまた、物語が始まる。
ドレアはスノースターをグレイに染めたもの。
ハワイのムームーみたいな
ハイビスカスま大きなお花の夏用のワンピース欲しいな。