さみしいな
グレン城下町の宿屋前。夕焼けが街の屋根を茜色に染めていく中、みるくは一人、噴水のそばに立っていた。
青い肌に白銀の髪、しなやかな尾びれが風に揺れる――ウェディ族の彼女は、仲間のログアウト通知を無言で見送っていた。
「……また、ひとりになっちゃった」
以前は毎晩のように集まって、チームで強ボスに挑み、ドレアショーで盛り上がった。にぎやかな日々。だけど、時が流れ、あの仲間たちはひとり、またひとりと姿を消していった。
「みんなリアルが忙しいんだよね。分かってる。うん……」
ぽつんと浮いたオンラインステータスの自分だけが、世界に取り残されているようだった。
さみしさに耐えきれず、みるくはルーラストーンを握りしめ、ラッカランへ飛んだ。
きらびやかなカジノ。まばゆい光と音楽。だけど、知っている顔はどこにもなかった。
「……さみしいな」
そのとき。画面の隅にチャットが光った。
《はじめまして!おひとりですか?よかったら、いっしょに迷宮どうですか?》
知らない名前。でも、そのたった一言が、今の彼女にはあたたかく感じられた。
「うん、行こう」
そう返してから、みるくは少しだけ微笑んだ。
誰かと繋がるその一歩は、きっと――世界をまた少し、明るくする。