さみしいな(つづき)
日替わり討伐の掲示板前は、朝からにぎやかだった。みるくは迷わず、「ソノソ様」の名前をクリックしてPT参加申請を押した。
「ありがとうございましたー!」
簡単な挨拶をして討伐を終えると、みるくはおもむろにフレンドリストを開き、ソノソ様の家を探した。気まぐれだった。ただ、誰かとつながっていたくて。
「ソノソ様のおうち……ここだね」
静かな住宅村の一区画。扉を開けると、意外なほど丁寧にハウジングされた空間が広がっていた。
白と金を基調としたエルフ風のサロン。壁には絵画、棚にはぬいぐるみが並び、床には可憐なラグが敷かれている。
「……すごい」
思わず呟いた声が、しんとした家の中に響いた。
いいねボタンを押そうとしたそのとき、設置されていた手紙の家具に目が留まった。
《誰も見に来てくれないけど、ハウジングは私の楽しみです。もし来てくれたなら、少しでも温かい気持ちになってくれたらうれしいです。》
みるくの胸に、なにかじんわりとしたものが広がった。
(わたしと一緒だ……)
さみしさのなかで、誰かとつながりたくて、それでも言葉にはできなくて。だけど、この家は、それでも何かを届けたいって願ってる。
みるくはゆっくり「いいね!」を押したあと、もう一度部屋を見渡した。
「……また来よう」
扉を出た瞬間、冷たい風が吹いた。でも、さっきよりも少しだけ、あたたかかった。