課金じゃ寂しさは埋まらない
「やったーっ♪」
カメラの前で軽やかに跳ねる、おさかなの私。夜のマイタウン、自慢の青い部屋の真ん中で、ドレアした自分をスクショに収める。笑顔もポーズも完璧。だけど、それは画面の中だけ。
今年4月から、課金額はすでに2万円を超えていた。庭具も家具も買い足しすぎて、倉庫はいつも赤表示。整理しきれないアイテムと一緒に、気持ちもゴチャゴチャしている。
買えば気がまぎれると思っていた。でも、煌びやかなシャンデリアも、最新のドレアも、ログインして誰かと笑えるわけじゃない。
「課金じゃ、寂しさは埋まらないんだな」
ぽつんと、部屋の中心に立ち尽くす。ハウジングに何時間もかけても、誰かが見に来るわけじゃない。見に来てほしくて公開設定にしているのに、ルーラ石は沈黙を守る。
リアルでも、誰にも本音を言えずにいた。バーチャルならきっと、と思ったけど、ここにも“空気”や“距離”がある。
「つながりたいだけなのに」
そうつぶやいた声も、青い部屋に吸い込まれて消えていった。
でも、画面の中の“私”――このおさかなの彼女だけは、いつも元気に笑ってくれる。彼女の姿を見ていると、少しだけ救われる気がする。
だからまた、今日もログインするんだ。
誰かの家に「いいね」しに行こう。どこかで同じように寂しさを抱える誰かが、私の足跡に気づいてくれるかもしれないから。