2014年3月7日。
みるくは小さな部屋のパソコンの前に座り、初めて『ドラゴンクエスト10』の世界にログインした。春の陽光が窓から柔らかく差し込み、微かにカップから漂うコーヒーの香りが心を落ち着かせる。
画面の中で、自分のキャラクターが初めて僧侶の衣装をまとった姿を見て、みるくの胸は高鳴った。手触りの想像できる革のベルト、淡い布の感触が頭の中に蘇る。ゲームの世界での一歩一歩が未知の冒険であり、期待と不安が入り混じっていた。
夜風が窓の隙間から入り込み、鳥のさえずりが遠くから聞こえる。まるで新しい世界が自分を歓迎してくれているかのようだ。
「ここからが私の冒険の始まり」
みるくはそう呟き、コントローラーを握る手に力を込めた。
11年の時が流れ、その日々の一瞬一瞬が、甘く切ない思い出となって胸の奥に輝いている。
写真一枚もないけど心の中には残ってる。