枯れた花壇の前で
足元の土は、かさかさと乾ききっていた。指先で触れると、砂のように崩れ落ち、小さな音を立てて舞い散る。
花壇に並んでいたはずの花は、色を失い、茎はしおれて土へと頭を垂れている。鼻を近づけても、あの甘く清らかな香りはもうなかった。
風が通り抜け、背後の案山子が麦わら帽子を揺らす。まるで「よく頑張ったね」とでも言うような微笑みを浮かべているが、その優しさがかえって胸に沁みた。
隣の区画には、まだ白い花が咲き誇っている。花弁が風に踊るたび、羨ましさと悔しさが入り混じった感情が胸をかき乱す。
しゃがみ込み、枯れた花にそっと触れる。冷たく、軽く、命の重みはもう感じられない。
——また、植えよう。今度は枯らさないように。
そう小さく呟くと、遠くで小鳥がひと声鳴き、空気が少しだけやわらかくなった。