❄️ アストルティアの冬、煌めきの夜に
凍てつくような、けれどどこか優しい冬の空気が、オルフェアの町を包み込んでいた。
「はぁ……。見て、吐く息が真っ白」
私は、肩に乗せた相棒のスノーラビットをそっと撫でた。柔らかな毛並みから、生き物の温かな体温が指先に伝わってくる。雪の結晶が刺繍された水色のコートは、パリッとした冷たい生地の感触を肌に伝えていたけれど、心の中は不思議とぽかぽかしていた。
目の前に広がるのは、魔法で凍らせたような幻想的な世界。 「うわぁ……今年も綺麗だね、みんな」
大きなスノードームの中では、粉雪がゆっくりと舞い踊り、カサカサ、さらさらという微かな音が静寂に溶けていく。頭上に輝く三日月が、青くライトアップされた冬木の枝を照らし出し、ツンと澄んだ冬の匂いが鼻腔をくすぐった。
「ねぇ、あっちの大きなドームも見に行こうよ!」 ドームを縁取るイルミネーションは、宝石を散りばめたように瞬いている。その光が私の瞳に映り込み、チカチカと心地よい刺激をくれた。
ふと、足元でマンドラが小さな足音を立てて通り過ぎていく。 「あはは、マンドラくんも冬支度? 風邪ひかないようにね」
冬の夜は、寂しいはずなのに。アストルティアで過ごす冬は、どうしてこんなに甘やかで、切ないほどに温かいんだろう。イルミネーションの青い光が、私の頬を冷たく、けれど優しく撫でていく。
「さあ、冒険の続きだ。この輝きが消えてしまう前に、もっとたくさんの思い出を詰め込まなきゃ」
私は雪を踏みしめるギュッ、ギュッという確かな感触を楽しみながら、光り輝くアーチの先へと歩き出した。夜空に浮かぶ星々が、私たちの行く手を祝福するように、いっそう強く瞬いた。