氷の床に、こつん、とブーツの音が落ちた。
「つめたっ……でも、きれい!」
声に出すと、天井から降る星の飾りが、きらりと瞬く。白い木が二本、左右で光を抱え、枝先の灯りが呼吸みたいに明滅している。甘い蝋燭の匂い、遠くで鳴る鈴の音。胸の奥が、くすぐったい。
「ここ、すきだなあ」
そう言うと、空気が少しあたたかくなる気がする。氷の上なのに、足の裏は安心してる。転ばない。大丈夫。視界の端で、プレゼントの箱が色とりどりに積み上がって、赤や緑が目に飛び込んでくる。見ているだけで、頬がゆるむ。
「ねえ、見て見て!」
誰に言うでもなく、私は手を広げた。背中のリボンが、しゅっと音を立てる。白い木の光が、ピンクのコートに映って、柔らかい影をつくる。
「星、落ちてこないかな」
「落ちてきたら、受け止めるよ」
ひとりで言って、ひとりで笑う。笑うと、息が白くなる気がして、また楽しい。壁の向こうには冬の絵。青い夜、雪、靴下。約束みたいな景色。
「たのしい~♪」
声を伸ばすと、鈴が返事をする。ちりん。ちりん。音が跳ねる。跳ねる音に、心も跳ねる。ここに来ると、うまくできなかったことも、言えなかった言葉も、少しだけ軽くなる。
「今日も、ありがとう」
誰に? 場所に。光に。自分に。氷の床が、静かに受け止めてくれる。私は一歩、前に出る。星の下で、もう一回。
「だいじょうぶ。たのしい!」
そう言うと、白い木が、きらっと笑った気がした。