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超一流防具鍛冶職人

みるく

[みるく]

キャラID
: UT055-558
種 族
: 人間
性 別
: 女
職 業
: まもの使い
レベル
: 140

ライブカメラ画像

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みるくの冒険日誌

2026-06-22 04:17:30.0 テーマ:レベル上げ

あとすこし

カンストのその先

夕方の風が網戸を揺らしていた。私はパソコンの前に座り、湯気の立つインスタント味噌汁をすすりながら、キャラクター情報の画面をじっと見つめている。白いブラウスに紺色の部屋着のズボン、足元には脱ぎっぱなしの靴下が片方だけ転がっていた。テーブルの上には麦茶、食べかけの塩せんべい、そして買ったばかりの茄子が新聞紙に包まれたまま置いてある。

戦士、僧侶、魔法使い、武闘家、盗賊。ずらりと並んだ職業の横には、きれいに「140」の数字が並んでいた。旅芸人も、バトルマスターも、天地雷鳴士も、海賊も、ガーディアンもみんなカンストしている。

残るは竜術士130。

隠者122。

私は画面に向かって、うーんとうなった。

「ねえ、もぐもぐちゃん」

隣にいる灰色の相棒に話しかける。

「もう私、十分頑張ったと思わない?」

もぐもぐちゃんはむすっとした顔でこちらを見ている。

もちろん返事はない。

でも、今日は、

「まだだ」

と言われている気がした。

「えー」

私は椅子の背にもたれた。

昔は違った。

一つレベルが上がるだけで飛び跳ねて喜んでいた。

初めて僧侶になった日。

初めて魔法使いでメラミを覚えた日。

酒場で知らない人に誘われて、緊張しながら迷宮へ行った日。

強いボスに全滅して、

画面の前で悔しくて泣きそうになった日。

その頃は、

レベル140なんて、

遠い遠い夢だった。

なのに今は、

ほとんど全部カンストしている。

私は画面をスクロールした。

未使用スキルポイント。

156。

127。

200。

180。

数字がいっぱい並んでいる。

なのに、

なんだろう。

少しだけ、

ぽっかりしている。

「先生」

頭の中で、真昼の声がした。

「夢って叶ったあと、どうするんですか」

私は笑った。

そうだ。

夢を叶えるのは、

案外あっさり終わる。

問題はそのあとだ。

律ならきっと言う。

「飯食って寝ろ」

って。

私は冷めかけた味噌汁を飲み干した。

わかめが少し歯にはさまる。

台所では洗っていない茶碗が二つ。

明日洗えばいい。

窓の外では、近所の子どもが、

「やったー!」

と叫んでいる。

たぶん、

自転車に乗れたのだろう。

何回も転んで、

膝を擦りむいて、

それでも乗れるようになったのだ。

私はふと思った。

私も、

何回転んだんだろう。

ボスに負けた。

お金をなくした。

職を間違えた。

宝珠を集め忘れた。

海賊がカンストしたのに裸だった。

思い出して、

ひとりで笑ってしまう。

「ほんと、何やってんだろ」

もぐもぐちゃんは相変わらずむすっとしている。

なつき度は八。

五回転生しても八。

でも、

まあいいかと思った。

なつき度が十になったら終わりじゃない。

竜術士が140になったら終わりでもない。

隠者がカンストしたら、

また新しい職が来る。

また覚えられない呪文が増える。

また宝珠を集める。

また失敗する。

それでいい。

ゲームって、

人生って、

完成しないから続けられるんだ。

私はキーボードに手を置いた。

「よし」

「今日は竜術士やろう」

すると、

画面の隅でもぐもぐちゃんが、

ほんの少しだけ、

胸を張ったように見えた。

私は笑う。

窓の外はもう夕焼けだった。

レベル140がずらりと並ぶ画面は、

昔の私が見たら、

きっと信じないだろう。

でも今の私は知っている。

カンストは終点じゃない。

ちょっと遠くまで歩いてきたね、と、

自分を褒めるための、

小さな休憩所なのだ。

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