釣り
釣りレベル Lv 52
釣り経験値 7,401,618 P
次のレベルまで 329,264 P
おさかなコイン 1,333,183 枚
ウエンディーみるく
朝から小さな雨が降ったりやんだりしていて、石畳には細かな水たまりがいくつもできていた。ウエンディーみるくは、淡い水色のワンピースの上から白いカーディガンを羽織り、少しくたびれた麦わら帽子をかぶって港町の広場を歩いていた。朝ご飯に焼いたベーコンエッグとトーストは少し焦げてしまったけれど、コーヒーに牛乳をたっぷり入れて飲んだおかげで気分だけは上向いている。洗濯物は雨が止むのを待って部屋の中に干したままで、窓際には読みかけの料理本と、飲みかけのミルクティーがそのまま置かれていた。広場の噴水の前まで来ると、いつものようにポケットからハンカチを取り出し、手のひらを何度も拭く癖が出てしまう。
「今日は大きな魚、釣れるといいなあ」
そうつぶやいて釣り竿を肩に担ぐと、港の防波堤には潮の匂いとカモメの鳴き声がゆっくり流れていた。隣では見知らぬ老人が古びたバケツにアジを並べながら鼻歌を歌い、遠くでは子どもたちが濡れた長靴で水たまりを跳ね回っている。ウエンディーみるくは糸を海へ投げ込み、波紋が静かに広がる様子をじっと見つめながら、昨日は小さな魚ばかりだったことを思い出した。それでも海を眺めている時間は嫌いではなく、魚がかかるまでの待ち時間には、母から教わったクリームシチューの作り方を頭の中で何度も思い返していた。
「焦ると逃げられるよ。海ものんびり屋さんだからね」
老人は笑いながらそう言うと、自分の釣ったアジを一匹見せてくれた。
昼過ぎになると雲の切れ間から柔らかな日差しが差し込み、海の色が少しだけ明るく変わった。ウエンディーみるくは昼食代わりに布に包んできた鮭のおにぎりを取り出し、卵焼きと一緒にゆっくり食べる。指先についたご飯粒を慌てて払った拍子に釣り竿が小さく揺れ、慌てて持ち直すと、水面の下で銀色の魚影が勢いよく走った。竿は弓のようにしなり、両腕へ重みが伝わってくる。何度も深呼吸を繰り返しながらリールを巻き、滑らないように足元を確かめていると、大きな魚が水しぶきを上げて姿を現した。
「やったぁ! 本当に釣れた!」
思わず声を上げると、老人は拍手をしながら大きくうなずいた。帰り道、紙袋に入れた魚を大事そうに抱えたウエンディーみるくは、夕飯は塩焼きにしようか、それとも野菜をたくさん入れたホイル焼きにしようかと考えながら商店街を歩く。肉屋から揚げたてコロッケの香りが漂い、八百屋には真っ赤なトマトが山積みになっている。夕焼けに染まる空を見上げたウエンディーみるくは、小さく笑って魚の入った紙袋を抱え直した。
「明日もまた、この海へ来よう」