あの庭で見た夢
朝、コーヒーを飲みながら窓を開けると、夏の風がカーテンをゆっくり揺らした。食卓には昨夜の味噌汁の鍋がそのまま残っていて、お鍋で炊いたご飯のおこげの香ばしい匂いがまだ台所に漂っている。白いTシャツに薄いブルーのカーディガンを羽織り、パソコンの前へ座ると、ふと庭に置いたばかりの花畑のベッドが頭に浮かんだ。画面を開きながら、マウスを持つ手が少しだけ止まる。
「やっと、うちにも来てくれたね。」
そのベッドを見るたび、昔のことを思い出す。まだ迷宮ボスのもぐらで破産してしまい、ゴールドが底をついていた頃、友達と旅行に出かけた先で立ち寄ったチームのレンダーシアの家は、私にとって夢のお城だった。庭には色とりどりの花が咲き、その真ん中に憧れのベッドが置かれていて、試しに寝転ぶと空を見上げるしぐさがあまりにも素敵で、思わず何度も写真を撮ったことを覚えている。帰る前にはみんなで他愛もない話をしながらパンをかじり、「こんな庭、いつか持てたらいいな。でも私には無理だろうな」と心の中で小さく笑った。
それから何年もたった。毎日キラキラを拾い、盗み金策をして、レア素材が出ない日は「何くそ、レアがダメならノーマルで」と自分に言い聞かせながら走り回った。洗濯物を畳む前に少しだけログインして素材を売った日もあれば、夕飯の煮物を火にかけたまま相場だけ確認した日もある。そんなある日、ずっと欲しかったあのベッドをとうとう買うことができた。花びらの上へ寝転んだ瞬間、あの日見上げたレンダーシアの空と同じ景色が広がり、自然と笑みがこぼれた。
でも、本当に思い出すのはゴールドのことではない。あの頃、私が今住んでいるマイタウンよりもずっと安かったはずのレンダーシアの土地が、誰よりも輝いて見えた理由は、そこに友達がいたからだった。そして今、私が暮らしているマイタウンは、チームの方がご厚意で譲ってくださった大切な場所であり、さらに手元には別の友達から「使ってね」と託されたもう一枚のマイタウン権利書まである。庭のベッドに横になり、青い花を眺めながら私はそっとつぶやいた。
「私が集めたのはゴールドだけじゃなかったんだね。」

諦めたら試合終了です♡