八月五日、ジュレットの夜の宝探し
八月五日の夜、みるくは海水浴をするため、ジュレットの町の浜辺を訪れた。白い髪に黒い水着を合わせ、足には膝まで細い紐が交差するサンダルを履いている。昼に干したバスタオルを取り込むのを忘れてきたが、今から戻れば冒険を始める前に一日が終わってしまうので、明日の自分に任せることにした。潮を含んだ風が頬をなで、暗い海からザザーッ、ザザーッと潮騒が聞こえてくると、みるくは波打ち際へ駆け出した。
「聞こえますか、ジュレットの潮騒が。さあ、今日も楽しいDQ10の始まりです」
白い泡を載せた波が足首まで寄せては返り、冷たい海水がサンダルの隙間から入り込んだ。みるくがうたかたの波を蹴ると、しぶきが月明かりを受けて銀色に光り、鼻先には海藻と濡れた砂の匂いが届いた。浜辺には背の高いヒマワリが並び、その上空では青白く輝く妖精が星の間を飛んでいる。みるくは昼に買った焼きとうもろこしを布袋から取り出し、少ししんなりした端をかじりながら妖精を見上げた。
「こんな夜中に、どこへ行くのかな。もしかして、私を宝物のところへ案内してくれるの?」
「キラキラするものなら、あっちの岩場に落ちたよ」
「しゃべった! それなら、探しに行かなくちゃ」
妖精を追って岩場へ向かう途中、海の中から大きな水音が上がり、青い甲羅のシーザーレインボーが姿を現した。みるくは焼きとうもろこしを慌てて布袋へ戻し、腰に差していた短剣を抜いたが、濡れた砂に足を取られて尻もちをついた。尻の下でサンダルがぎゅっと鳴り、水着には砂がびっしり貼りついたものの、魔物は襲ってこない。口に小さな銀色の箱をくわえたまま、困ったように首を傾げていた。
「それ、妖精さんが落とした箱でしょう。返してくれるの?」
「グオオ……」
「とうもろこしと交換ならどうかな。お醤油の焦げたところも残っているよ」
「それ、みるくが一番好きなところじゃないの?」
「妖精さん、余計なことを言わないでください」
みるくが焼きとうもろこしを半分差し出すと、魔物は銀色の箱を砂の上へ置き、香ばしい匂いを確かめてから満足そうに海へ戻った。箱の中には、ヒマワリの形をした黄金の髪飾りと、「八月五日の波と遊んだ冒険者へ」と書かれた小さな札が入っていた。みるくが髪飾りを白い髪につけると、浜辺のヒマワリが一斉に海のほうを向き、青い光の道が沖へ伸びていった。光の先には帆を広げた小船が浮かび、妖精はその船を指さして羽を忙しく動かした。
「次は、夜の海へ出発だよ。沖の島には、もっと大きな宝箱があるの」
「えっ、海水浴だけのつもりだったのに。でも、着替えもお弁当もあるし、行けるところまで行ってみよう」
「とうもろこしは、もう半分しかないよ」
「大丈夫。塩むすびを三個持ってきました。冒険は腹ごしらえが大切です」
みるくは濡れた足の砂を払い、小船へ向かって青い光の道を歩き始めた。背後では波が寄せては返し、ジュレットの町の灯りが遠くで揺れている。八月五日はもうすぐ過ぎてしまうが、黄金の髪飾りは頭の上で温かく輝き、布袋の塩むすびはまだ三個とも無事だった。みるくは振り返らずに小船へ乗り込み、冷たい夜風を胸いっぱいに吸った。
「さあ、妖精さん。明日になっても終わらない、わくわくする冒険へ連れていってください」
所持金+銀行
: 94,839,033 G
お金なかなか増えませんねw