汗と涙の結晶装備、準備完了です
紅葉の庭に朝の光が差し込み、赤や黄色の葉が石畳へ舞い落ちていた。みるくは自分で打ったスパイクアーマーを身につけ、黒い小手の留め具を一つずつ確かめた。昨日の夕飯に食べた焼き鮭の皿は机に残っていたが、今日は片づけより先に冒険の支度を終えたかった。
「よし、スパイクセット装着。天馬の大剣も、ちゃんと錬金できています!」
防具鍛冶では、火力を上げすぎて地金を叩きすぎたことも、狙った場所へ会心が入らず頭を抱えたこともあった。それでも何度も温度を確認し、自分の手で五つの防具を完成させた。天馬の大剣にも錬金効果をつけると、白銀の刃が紅葉の光を受け、今にも空へ駆け上がりそうに輝いた。
「イチローは言いました。『準備とは言い訳の材料を排除すること』。これでもう、装備がなかったとは言えませんね」
みるくは腰へ小さな袋を結び、中にアモールの水と焼きたてのバトルステーキを入れた。香辛料と肉の匂いが袋から漏れ、出発前なのにおなかが鳴ったため、庭にいた仲間が吹き出した。みるくは頬を膨らませたものの、自分も笑いをこらえられなかった。
「腹ごしらえも立派な準備です。笑った人には、ステーキを分けませんよ」
「それは困る。みるく隊長、準備は完璧です!」
門の向こうでは、魔物のいる森へ続く道が朝霧に包まれていた。みるくは天馬の大剣を背負い、金属の靴を鳴らして最初の一歩を踏み出した。汗と涙の結晶を取り出すまで使い込むのだから、弱い魔物だけを選んでいては楽しくない。
「今日の目標は、結晶を作って無事に帰ること。それから、途中で宝箱を見つけたら全部いただきます!」
森へ入ると、茂みから三匹の魔物が飛び出した。みるくは大剣を抜き、地面を蹴って大きく振りかぶった。錬金した防具が朝日にきらめき、最初の一撃が魔物たちをまとめて吹き飛ばした。
「わあ、本当に強い! 自分で作った装備で戦うと、いつもの三倍わくわくします!」
戦いを終えると、スパイクアーマーには小さな傷が一つ増えていた。けれど、それは失敗の跡ではなく、汗と涙の結晶へ近づいた証拠だった。みるくは大剣を肩へ担ぎ、次の魔物が待つ道へ駆け出した。
「準備完了、言い訳なし。それでは今日も、楽しい冒険へ出発です!」