天女のいちばん大切な願い
みるくは笹飾りの前で目を閉じ、「天女の祈り」を捧げた。行灯の温かな光が織姫様の衣装を照らし、夜風に揺れる短冊が、さらさらと優しい音を立てている。欲しい物や達成したいことはたくさんあったが、最後に心へ残った願いは、とてもささやかなものだった。
「おいしいご飯を食べたこと、ゲームを楽しめたこと、きれいな景色を見つけたこと。そんな小さな出来事にも、幸せを感じる心を育てられますように」
一人で飾ったマイタウンの七夕が、今夜は昨日より少し明るく見えた。みるくは目を開けると、行灯の光に向かって小さくうなずいた。幸せは遠い星から届くものではなく、今日という一日の中から、自分で見つけて育てていくものなのかもしれなかった。