みるく改めアン・シャーリーです♡ 茶色いドレスの冒険日誌
朝、鏡の前に立った私は、思わず両手でスカートの裾をつまみました。昨日までの淡い緑色のワンピースはすっかり茶色に染まり、帽子も同じ色合いにしたので、鏡の中には森の木々に紛れてしまいそうな女の子が立っています。けれど胸元には白い花と小さな花飾りが残っていて、それを指先でそっと撫でると、昨日摘んだ花の甘い匂いまでよみがえってきました。「今日から私は、みるく改めアン・シャーリーです♡」
朝ごはんの席には、焼いたパンと温かいミルクが置かれていました。パンをちぎると、表面から香ばしい匂いがして、バターがゆっくり溶けていきます。私は一口食べてから茶色い袖を眺め、この服を着て教会へ行ったら、きっとマリラにも見せたくなるだろうと思いました。「アン、パンを眺めているだけじゃ朝ごはんになりませんよ」「はい、いただきます! でも、このドレス、とっても素敵でしょう?」
帽子をかぶって外へ出ると、昨日の雨で道はまだ少し湿っていました。土を踏むたびに靴の裏から小さな音がして、森の中からは鳥の声が聞こえます。茶色い服は緑の木々によく似合い、歩くたびにスカートが膝のあたりでふわりと揺れました。「まあ! 茶色って、こんなに森に似合う色だったのね」そう言いながら私は腕を広げ、くるりと回りました。
すると木の根元に、昨日摘まなかった小さな白い花を見つけました。私はしゃがんで花を眺めましたが、今日は摘まずに、そのままにしておくことにしました。せっかく新しい服を着たのだから、花を全部持って帰るより、森で咲いているところを見るほうが素敵だと思ったのです。「あなたはここにいてね。私が教会から帰ってきたら、また会いましょう」
教会へ向かう途中、私は何度もスカートの裾を確認しました。茶色い布には朝露が少しついていましたが、手で払うと細かな水滴がきらきらと落ちていきます。以前なら、もっと華やかな色や大きな袖が欲しいと言っていたかもしれませんが、今はこの服を着て歩く自分が少し誇らしくなっていました。「マリラ、見ていてね。アン・シャーリーは、この茶色いドレスで日曜日を楽しむんだから!」
教会の扉を開けると、木の香りと蝋燭の匂いがふわっと鼻に入りました。席に座る前に帽子の花をそっと整えると、白い花が茶色のリボンの上で揺れます。私は背筋を伸ばし、静かに前を向きました。「さあ、アン・シャーリー。今日はちゃんと最後までお行儀よくするのよ♡」そう小さく自分に言い聞かせて、私は初めての茶色いドレスで、日曜日の教会を楽しむことにしました。