みるく、SERIOUSに隠れる
みるくは討伐対象の巨大な蜂から逃げ、背丈より高い桃色の花畑へ飛び込んだ。白い髪には蝶と薔薇の髪飾りをつけ、淡い桃色のドレスを着ていたため、花に紛れれば見つからない予定だった。湿った土へ肘をつき、息を止めながら葉の隙間をのぞいた。
「みるくは今、非常にSERIOUSです。絶対に話しかけないでください」
追いついた戦士レオンは、大剣を背負ったまま花畑の前で足を止めた。みるくの頭についた大きな蝶、白い前髪、桃色の袖が全部見えており、隠れているのは膝から下だけだった。彼は朝食用に持ってきた焼き芋を紙袋から取り出し、隣へしゃがんで皮をむいた。
「それは隠れているつもりか?」
「静かにしてください。蜂に気づかれます」
「君の髪飾りに、本物の蝶まで止まっているぞ」
みるくが慌てて頭を振ると、花粉が舞い、鼻の奥がむずむずした。我慢しようと両手で鼻を押さえたが、大きなくしゃみが一つ、山まで響いた。直後、巨大な蜂が羽音を立てて戻ってきたので、みるくは目を閉じて地面へ伏せた。
「見つかりました! どうしてですか!」
「八割ほど君のくしゃみだ」
「残り二割は?」
「目立ちすぎる服だな」
レオンは大剣を抜き、一撃で蜂を追い払った。みるくは花の中から顔を上げたものの、頬には土がつき、髪飾りには葉が三枚も挟まっている。レオンが指先で葉を取り除くと、みるくは口を尖らせたまま彼の焼き芋を見た。
「助けてもらったので、お礼をしたいです」
「焼き芋を半分欲しそうな顔で言うな」
「では、お礼として半分食べてあげます」
結局、二人は花畑へ並んで座り、温かい焼き芋を分けて食べた。蜂との戦いより芋の大きいほうを巡る争いのほうが長引き、みるくは最後まで自分は真剣だったと言い張った。レオンは土のついた彼女の鼻先を拭い、残った一口を差し出した。
「次は、隠れる服で来い」
「次もこの服です。そのほうが、レオンがすぐ見つけてくれるでしょう?」