焼きもろこしを追いかけて
八月十九日の昼、みるくはジュレットの借家で青い半袖シャツと白い短パンに着替えた。窓辺では洗った靴下が潮風に揺れ、机には朝の焼きサバの匂いが残っている。冷えた麦茶を飲み干したみるくは、黄金のもろこしプリズムを手に入れると決め、浮き輪を抱えて港へ走った。
「今年こそ十九万点を取るんだから!」
受付のバルバトスへ叫ぶと、隣にいたウェディの青年が吹き出した。彼の名はポルカといい、赤いアロハシャツの胸元には焼きそばのソースが付いている。二人は開始の鐘を聞き、揺れるいかだへ飛び乗った。
「右にお宝! 左から爆弾が来るぞ!」
ポルカの声に従い、みるくは木箱を飛び越えて宝石を拾った。潮の匂いと水しぶきが顔へぶつかり、濡れたシャツが背中に張り付く。大砲の音が響くたびに足元が傾き、ポケットに入れた塩せんべいが粉々になった。
「せんべいは後! 今は黄金の像よ!」
みるくが走り出した途端、巨大なサメが甲板を横切った。慌てて避けたポルカは、誰かが落とした古い長靴を拾ってしまう。役に立たない宝でも点数になると知り、二人は顔を見合わせて笑った。
「みるく、焼きもろこしが落ちてきたぞ!」
香ばしい匂いが漂い、本物の屋台を思い出したみるくのお腹が鳴った。しかし飛んできたのは食べ物ではなく、金色に輝く大きなお宝だった。爆風に押されながら抱きかかえると終了の鐘が鳴り、二人は海へ転がり込んだ。
浜へ戻ったみるくの得点は十九万二千点だった。黄金のもろこしプリズムを受け取り、濡れた髪のまま何度も周囲を走る。ポルカは屋台で買った焼きもろこしを半分に折り、醤油で汚れたほうを自分で持った。
「次は二十二万点と、ふくびき券三十枚ね」
みるくは熱いもろこしへかじりつき、焦げた醤油の香りを潮風と一緒に吸い込んだ。夏の終わりはまだ遠く、次の航海を告げる鐘が港に鳴り響いていた。