綿毛に守られて、くらげのおうちへ
八月の終わり、みるくは真珠色の髪を整え、青い上着と黒いズボンに着替えると、建て替えたばかりの家の前に立った。扉の向こうでは、家具と庭具が倉庫からあふれ、椅子の上に植木鉢、その上に魚の置物、その魚の口にはなぜか古びたスプーンが刺さっていた。昼に食べた冷やしうどんの器も机に残っており、薄くなった麺つゆからショウガの匂いが漂っている。整理整頓が苦手なみるくは、倉庫の一覧を開くたびに指を止めたが、ここで逃げたらくらげのおうちは永遠に完成しないと考え、袖をまくった。
「今日は十個だけ片づけるのら。十一個目を見つけても、見なかったことにするのら」
最初に出てきたのは、同じ椅子が七脚、色違いのランプが九個、いつ買ったのか分からない大きなタンスだった。みるくがタンスを動かすと、床から乾いたクッキーが一枚現れ、甘いバターの匂いが鼻先をくすぐった。いつの物か考えるのは危険だったので、クッキーは食べずにごみ箱へ入れ、買い直せる家具と大切な課金家具を一つずつ分けた。課金家具はサブへ送れないため、間違えて手放さないよう、何度も名前を指でなぞった。
「あなたたちは高かったから残留なのら。普通の木箱さんは、お店でまた会おうね」
そうして空いた場所へ青い床を敷き、壁いっぱいにくらげの泳ぐ景色を広げると、部屋の空気まで海水のようにひんやり感じられた。紫色の光を受けたくらげは、透き通った傘をゆっくり開き、細い足を揺らしながら音もなく進んでいく。みるくは宝石のような柱と丸い照明を配置したが、一歩下がって眺めた瞬間、背後の鉢植えにつまずいた。転びかけて両腕を振り回す姿を、壁のくらげだけが落ち着き払って見守っていた。
「ちょっとくらい助けてくれてもいいのら。足がいっぱいあるでしょう」
夕方になると、窓の外の空は桃色に染まり、遠くの草むらではツクツクボウシが夏を追いかけるように鳴いていた。七十二候では綿柎開、綿の実が裂け、白い綿毛が姿を見せるころである。みるくは冷蔵庫からカルピスソーダを出し、氷がからんと鳴るグラスを両手で包んだ。海から離れた部屋にいながら、まだ海に恋している自分がおかしくもあり、少しいとおしくも思えて、炭酸の泡と一緒に小さく笑った。
「夏が終わっても、ここなら毎日海なのら。綿毛に守られて、飛んでいけ~なのら」
最後のランプを置くと、青と紫の光が床の模様を照らし、大きな月のような泡の向こうをくらげが横切った。いっぱいだった倉庫にはわずかな空きが生まれ、散らかっていた家具も、それぞれの居場所に収まっている。みるくは靴音を響かせながら完成した部屋を一周し、冷めたうどんを片づけ忘れていたことに気づいた。それでも今日は、苦手な整理整頓から逃げず、自分の手でくらげのおうちを完成させたのである。
「片づけも冒険だったのら。ラスボスは倉庫、隠しボスは冷やしうどんなのら!」

うふっ♡
しあわせ♪

めっちゃ楽しい~