木の葉がこっくり色を重ねて、恋をしているよ
秋晴れの昼下がり、みるくは赤と黒の格子柄のドレスを着て、色づいた木々の下に座っていた。袖は落ち葉のように大きく広がり、胸元の金色の飾りは、木漏れ日を受けるたびにきらりと光った。朝に磨いた赤い靴にはもう土がついていたが、歩いてきた証拠なので気にしないことにした。
「秋色のお洋服、かわいいのら。みるくも紅葉の仲間になったのでしゅ」
広場では、赤いカエデと黄色いイチョウが隣り合って枝を揺らしていた。その奥には白と薄桃色のコスモスが咲き、乾いた風が吹くたび、甘い草の匂いと一緒に花びらがみるくの膝へ飛んできた。みるくは一枚を指でつまみ、朝食の栗ジャムを袖につけたことを思い出して、格子柄なら染みも目立たないと胸を張った。
「ほら、木の葉がこっくり色を重ねて、恋をしているよ」
声のした方を見ると、黄色い上着を着た旅人のリトが、紙袋を抱えて立っていた。中から焼きたてのリンゴパイの匂いが漂い、みるくのおなかは返事の代わりに大きく鳴った。リトが隣へ座ると、赤い葉と黄色い葉が一枚ずつ舞い落ち、二人の間で重なった。
「葉っぱさんも、好きな相手の隣へ行きたいのでしゅね」
「風に飛ばされただけじゃないかな」
「リトは、夢が足りないのら」
みるくは頬をふくらませたが、差し出されたリンゴパイは受け取った。表面の砂糖はしゃりしゃりして、中のリンゴは舌を驚かせるほど熱く、シナモンの香りが鼻へ抜けた。二人で半分ずつ食べていると、突然強い風が吹き、リトが持っていた旅の地図をさらっていった。
「地図がないと、今夜の宿へ帰れない!」
「恋する葉っぱさん、地図を捕まえてくだしゃい!」
二人は舞い上がった地図を追い、赤い木の下をくぐり、イチョウの落ち葉で滑り、コスモス畑の手前でようやく追いついた。地図はアメリカンハナミヅキの低い枝に引っかかり、赤紫色の葉に挟まれて止まっていた。みるくが背伸びをして取ると、枝先の赤い実が一粒、帽子の中へ転がり込んだ。
「葉っぱさんが助けてくれたのでしゅ。やっぱり恋の力なのら」
「そういうことにしておくよ。お礼に残りのパイもあげる」
夕方、二人は落ち葉を踏みながら町へ戻った。かさこそという足音は一人分ずつ違っていたが、歩く速さはいつの間にか同じになっていた。みるくは赤と黄色の葉を冒険帳へ並べて挟み、最後に小さな字で「秋は、隣り合うともっときれい」と書いた。