もうすっかり秋のはずなのに
相変わらず じめじめっと暑い。
お日様は今日も元気です。
「暑いよう……。」

私は木陰を見つけました。
ちょうど良い感じのベンチもあります。
あそこで休もうかな。
そう思って歩いていると、
向こうから一匹のメタルスライムが歩いてきて
元気に挨拶してきたのです。
『こんにちは!』
「こんにちは」
元気な子だなぁ。
……あれ?
メタルスライムって、逃げるものじゃなかったっけ。
私は考えました。
考えて、考えて、考えました。
「まあ…夏だからかな。」
よくわからない理由で自分を納得させて、
ベンチへ向かいました。
『えっとね』
メタルスライムが声をかけてきました。
『そのベンチ、
座らないほうがいいかも』
「えっ、そうなの?」
『ペンキ塗りたてだからね』
よく見ると何か貼り紙が貼ってあります。
……魔物の字なので読めませんが、
きっとペンキ塗りたてと書いてあるのでしょう。
たしかに銀色のペンキが塗られているようでした。
『ぼくが今朝座っちゃったから、
さっきまた塗りなおされた
ばっかりなんだよ』
「え?」

私は声の主をじっと見ました。
そこにはメタルスライム…
…いえ、よく見るといつものメタルスライムとは
ちょっと光り方がちがうような。
「…君は、もしかしてメタルスライムじゃないの?」
『ぼくは普通のスライムだよ』
スライム?はぷるぷるしながら言いました。
『座ったらペンキついちゃってね。 いっぱい洗ったんだけど、
全然落ちなくて。」
私は銀色のスライムを見つめました。
…どうも腑に落ちません。
「座っただけだよね?」
『うん。』
「なんで全身銀色なの?」
『ぼくは身体がゼリーだから、
お尻についたペンキが
全身に移っちゃったんだよ』
「……なるほど。」
わかったような、わからないような。
もやもやしていると、
銀色のスライムがぽよぽよと近づいてきました。
『ねえ。』
「うん?」
『ぼくメタルスライムじゃないから』
『経験値、多くないから。
倒さないでね』
私はちょっと考えて言いました。
「今は経験値より、
日陰のほうが欲しいかな。」
スライムは安心したように笑いました。

私はベンチではなく、
木陰にごろんと寝転びました。
今日も、とっても平和だな。