アストルティアの花と風景を紹介する連載記事を書いています。ストーリーの進行に沿って、初めて出会う植物や風景について記載していきます。
今回は、古エテーネ王国編として、バントリユ地方、辺境警備隊詰所についての記事を書いていきます。
遠からず訪れてしまうアストルティアの終焉を回避するため、運命を変える鍵となる記憶の赤結晶をクォードに渡しに行く。
…と、逸る気持ちで再び5000年前のエテーネ王国に旅立った私でしたが、着いてみればあの時訪れたドミネウス邸は様子が一変していました。
何と、優雅に空に浮かんでいた邸宅は地に墜ち、無残な廃墟と化していたのです。

キュルルによれば、前回訪れた時よりも僅かに後の時間であるとのこと。その僅かな間に一体何があったのか、調べようにも手がかりは乏しく、途方に暮れかけました。
たまたま巡回警備に来ていた辺境警備隊の兵士に出会い、この時代この土地の事情を少し聞くことができました。
ドミネウス邸は、住人達が転居して程なく墜落したこと。
探しびとであるクォードは、この時点ではエテーネ王国の都キィンベルにて、王国軍を束ねる立場にいること。
クォードが無事でいることに一先ず安堵しましたが、一介の旅人が彼に接触するのはなかなか難しそうで
あることも判りました。

兵士達の厚意により、彼ら辺境警備隊の詰所に案内して貰うことになりました。
道中、土地の様子を窺うと、川辺には橙色の蕾のような形の植物が多く見られ、他にも桃色の小さな花、南方の湖には大型の睡蓮が見られましたが、樹木はあまり多くありません。川辺を離れると草も疎らです。
また、所々に奇妙な形の岩や、塚のような土の柱が見られたのが印象的でした。

水は豊富にあるものの、地味は少々乏しい印象で、王国にとっては「辺境」であるのも解る気がしたものでした。
燈や橋など、人の手が入っている様子はあるものの、それ以上の人の営みの気配は薄いようでした。特に、この湖あたりまで足を運ぶのは、貴重な薬草や素材を求める商人や冒険者位のものらしい、と暫く後に知ることになります。

案内された駐屯地は、この土地の水源地を確保しており、おそらく外部から持ち込まれた樹木が植えられ、牧草のような下草が密に繁っていました。
この緑の濃さは、佳き水と、人の営みが長く保たれてきた故でしょう。
青々とした草には、よく見れば小さな花が沢山咲いていました。
ここで、まずは王都への通行手形を書いて貰うよう交渉しようと思っていたのですが…
しかし、駐屯地は突如異形の怪物に襲撃されます。
異形獣と仮称されたそれは、兵士達を傷つけるというよりは、まるで生気を奪い取るような攻撃をしかけてきました。
駐屯地の責任者は、かの異形獣を討伐すれば、王都の軍司令官であるクォードに紹介状を書くと言ってきたため、追跡してこれを討伐しました。
討伐の証拠に異形獣の角を持ち帰り、クォード宛の紹介状を手に入れて、かくして私は王都へ向かうことになりました。
…ようやくこれでクォードに会って、記憶の赤結晶を渡せる。
この時私はそう思っていました。
しかしながら、この先もそう簡単にはいかなかったのです。
次回は、エテーネ王国領、王都キィンベルについての記事を書く予定です。