つづきです。
案の定、会場から摘み出されかけたその時、首に包帯を巻いた謎のイケメンが助け舟を出した。
人の弱みにつけ込んで懐に入ろうとする輩の手口に似ているので要警戒と思っていたが、かなり人当たりが良くて親切そうな男であった。
しかし、首元には恐らく首輪……人には見せたく無い類のものがある可能性が高かった。
また、イケメンとボイスから、こいつは主要キャラである可能性はとても高い。
シリルと名乗ったこの男はティア厨であるらしく、ティアグッズを売る店をやっていた。
服装がもろティアである主人公を見出したらしい。
超久々にキーエンブレムを出し、「すごいね」とか褒められた。
存在をすっかり忘れていた。
電車とかもう乗らないからね。
白っぽくてどでかいドラゴンキッズを保護しており、これを群に返したいと言っていた。
一応こちらにも任務はあるのだが、片っ端から依頼を受けるのが趣味である主人公なので、ホイホイと請け負っておいた。
一応ユシュカにそれを報告すると怒られたが、白いドラキーと先程のドラゴンキッズが夜の空を飛ぶ様子を見て、驚くほどあっさりと許可を出した。
こいつ、何かを知っているな……アスバルと面識があり、その性格について知る機会がある程度の付き合いをしている場合に出てくる様なセリフを吐いていた。確か、ツンドラキーがあそこまで白かっただろうか?何か違う気がする。
ドラゴンキッズを森まで送りに行くと、道中、魔界らしからぬ平和な空気と景色となった。
その先には何か大きなボスがいたが、それはもう過去の話である。
シリルは「これだけが心残りだった」と言い、ティア旅行の準備をするために「どうしても持ってきたいものがある」的な事を言って、ゼクレスへ帰っていった。
ティアでは肌と耳は「大きなエルフです」とか言えば何とかなりそうであるが、角だけはどうにもならない。その辺りはどうなのだろうか。
シリルを探して六大陸堂に向かうが、鍵がかかっており開かない。
しかしユシュカは諦めずに暴力に訴えてドアを破壊して内部に侵入した。
お前、暴力に訴えないんじゃ無かったのか。
店の奥にあるティア地図に線が入っており、パズルになっているこれを何とかする事となる。
しかし、最低四回で完成する上に、切れ端で全体図が予想できるパズルを王家に続く道とするのは些か以上に無用心が過ぎる。
宝物を抱えたシリルは、いやアスバルは、大切なものを隠す子どもの様にも見えた。
端的に言えば、全く覇気が無く、おどおどとしていたのだ。
本当に魔王なのか?
何か筋肉が無さそうだぞ?
王家の秘伝の道を駆け抜けた先には、女王がいた。
女王がこちらを張っている事は明白なのだから、店の方からこっそりと脱出すべきだったのではとしか思えない。
女王はこちらを「雑種」と罵った。
これは、下等魔族が雑種であるという表現なのか、ユシュカがマジモンの雑種である事を示すのか、どちらかは分からなかった。
しかし、雑種は悪口ではない場合もあるので、血統書付きの純血種は近交弱勢によって血友病にでもかかっとけ! と心の中で悪口を返しておく。
女王にコンパスをこれ見よがしに破壊されたアスバルは激昂して物々しい魔人を召喚したが、途端にアスバルが操られてしまったため、こちらに襲いかかってくる事となった。
大丈夫、コンパスが無くてもティアは旅できるよ……ただあんたが単身乗り込んできたらティアにとっては侵略でしかないからやめとけ。
ティアには、か弱い魔物しかいないんだ。
女王がアスバルを洗脳している事実が明らかになり、ゼクレス魔導国の話は終わった。
マジ、モンスターを使役するモンスター級に強い息子を使役するモンスターなペアレントであった。
この女王も、適度に飴を与えながら自分の思うままに育てれば、いずれアスバルは女王2号の様に育った筈なのに、やり方が古臭くて下手である。
全てをギチギチに縛り付けると人はあらぬ方へと逃げ場と拠り所を求めるから、わざと一箇所だけ手抜きをして、裏から手を回しつつそこに依存させるんだ。
例えば、社交の場でサクラにちやほやさせて、選民意識を植え付けるとかね。
そしてアスバル、親のやる事くらい察しよう。このモンスターなペアレントは、アスバルの事であればほぼ全ての事を把握しているだろう……親は人に言えない本や、ヤバイブツの場所程度は把握してしまうとどこかで聞いた気がする。

とりあえずのペリポン