押し寄せる不死の軍勢。死人故に自我はなく、無慈悲に振り下ろされる刃の数々。必死に耐える冒険者を嘲笑うかのように、次々と敵が召喚され、倒せど倒せど戦線は後退していく。
冒険者が護るは、エルフの巫女ヒメア。彼女の命は、エルトナの地に根付く世界樹の若木と命運をともにしている。
そんなことは知ってか知らずか、ただ純粋に彼女を護るために立ち上がった勇気ある冒険者たち。
だが、それは勇気などではなく、蛮勇だったのかもしれない。
「まだか! 後どれだけ倒せばいい!?」
身の丈ほどもある巨大な剣を振り回し、骸骨をなぎ倒しながらウェディの男が凄惨な声を上げる。
身体には無数の傷がついており、おびただしい程の鮮血が流れ出ている。 常であれば美丈夫に映るであろうその顔は、今にも焦燥と不安に押しつぶされそうだった。
彼の必死な呼び声に、応える者はいない。
まさかみんな力尽きてしまったのか? 俺たちは護れなかったのか?
彼の脳裏には、エルトナの巫女ヒメアの顔が浮かんでいた。
エルフではないウェディの自分にも、温かい心で接してくれた恩義を決して忘れることはない。此度の戦にも、彼女を護るためであれば、たとえ命を落とすことになろうと本望であると、真っ先に駆け付けた。
しかし、それも彼女を護り切ることができればの話である。そうでなければ、ただの犬死に過ぎない。そんなことは、痛いほど自分がよくわかっていた。
藁にもすがるような気持ちで、重い身体をなんとか動かし、周囲に顔を向けた。
彼の目に移ってきたのは、敵敵敵敵敵敵敵敵。
ガチャガチャと骨を軋ませ、結界に向かってただ突き進む不死者の姿ばかりが目に入る。
かろうじて、まだ何人か味方の姿も捉えることができたが、みな一様に自分と同じような有様で、立っているのが精一杯であった。
地に視線を落とせば、息があるのかどうかもわからない横たわった仲間たち。いずれ、いやすぐに自分もああなるのだろう。それを悟った彼の顔は、悲壮に包まれ一層陰りを増した。
失意の底に落ちてしまったウェディの彼を、一体だれが責められようか。
そう断言せざるを得ないほどの絶望が、この戦場には満ち溢れていた。
倒しても倒しても、倒した数以上に増え続ける不死者たち。
剣が砕け、魔力が尽き、心でさえも折れてしまった冒険者たちを、非情な一撃が刈り取っていく。
残った数少ない冒険者たちにも、終わりはすぐそこまで近づいてきていた。
痛みによるものか、恐怖によるものか、それとも後悔によるものか、震えながらもなんとか武器を握っていた手を、一人、また一人と離していく。
もはやこれまでか……。戦況は火を見るより明らかだった。薄れゆく意識の中で、ウェディの男は、叶うはずのないヒメアの無事を、ただただ乞うように祈った。
そんな時だった。女性の凛とした声が脳裏に響いてきたのは。
何かの幻聴かと、閉じかけていた重い瞼を開けてみた彼の目に飛び込んできたのは、拳法着に身を包んだ一人のオーガの女性。
彼女は自分のほうを向き、にこりと笑った。
気が付けば、溢れんばかりの涙の粒が頬を濡らしている。
絶望に屈したからではない。安堵に包まれたからだった。
「冒険者の皆さん、よくぞここまで耐え抜いてくれました! 私たちは、カミルハイムから送られてきた救援部隊です。後は安心して身を休めてください」
オーガの女性は、戦場に響き渡るような高潔な声で、高らかに叫び、そして構えを取った。
「さあ、覚悟しろ不死者ども。お前たちの歩みはここでおしまいだ。何故なら、私が来たからだ。――その身に刻め、奥義……」
一 喝
つよいしょくぎょう よわいしょくぎょう、そんなのひとのかって。
ほんとうにつよいプレイヤーなら、すきなしょくぎょうでかてるようにがんばるべき。
ラスト3秒、味方過半数戦闘不能。敵の数膨大。結界に攻撃しようとしている敵の数甚大。結界の色真っ赤。
そこで決まる一喝。これがドラクエ10、なんだよなあとおもった一瞬でした。最適とかそういうの、どうでもいいわ。最近そんなことばかり考えていて、楽しめてなかった自分がいた。
楽しい。それがすべてだよな。
武で周回しまぁあぁあす!!!111