アスバル「ちょっと教えてほしいんだけど。」
私「あ、はい、なんでしょう。」

ア「このまえ君がくれた、この杖なんだけど。」
わ「ああ、とりあえずこれ使っててくださいって、渡したやつ。」
ア「いくつか不思議に思うことがあって。」
わ「そうですよね…」
ア「まず、この「攻撃時4%で魅了」なんだけど。
攻撃時って、直接たたいたときのことだよね?」
わ「はい、相手に接触してダメージを与えるってことだと思います。」
ア「次に、この「MP吸収率」だけど。」
わ「あ、すみません、ゼクレスの魔王に失礼でしたよね!
あなたのMPは無尽蔵と言ってもいいくらいだし、ちまちまMP吸ったりしませんよね!」
ア「それは別にいいんだけど。
でもやっぱり、たたくんだよね?」
わ「そういうことです。」
ア「最後に、この「会心率」だけど。
これは呪文暴走率とは違うよね?」
わ「はい、魔法ではなく、物理的な攻撃に付くものです。」
ア「これらのことから考えるに、この杖は、相手を直接たたくような使い方を想定して作られている…?」
わ「いえ決して、そんなことはないかと。
防衛産の武器は、錬金効果がランダムに付くので。 メインはあくまで基礎効果なので、錬金効果はあまり気にしないでください。」
ア「でも君はあの時、同じような杖をジャラジャラとたくさん持ってきて、その中からかなり悩んで、これを選んでくれたよね?」
わ「はい、5~6本作りました。
良い効果が出る前に、防衛メダルがなくなってしまって。」
ア「他の杖には、どんな効果が?」
わ「こうげき力とか、おしゃれさとか。
あとはほとんど、攻撃時◯%で◯◯、ってタイプですね。
どれも似たり寄ったりですが、ルカニや幻惑よりは魅了の方がおもしろ…、いえ、似合うかなって。」
ア「するとやはりこれらの杖は、直接たたくことを前提に作られている…?」
わ「いえ決して、そんなことは…
いやでも、そうとでも考えないと、さすがに説明がつかない…?」
ア「杖の使い方ひとつ取っても、こんなに違う。
アストルティアの文化はずいぶん理解したつもりだったけど、まだ僕の知らないことがたくさんあるんだな。」
わ「いえ、みんなが杖で相手をぶん殴っているわけでは…」
ア「ぼくも早速、アストルティア流の戦い方を実践してみるよ!
スイングはこんな感じ?」
わ「いや、あ、それならじゃあ、まず試しに私をたたいてみてください。」
ア「え、だいじょうぶかい?」
わ「はい、それでたたく時、なんでやねーん!って叫んでみてもらえますか?」
ア「え、どうして?」
わ「MPをたくさん吸うための、おまじないみたいなものです。」
ア「それもアストルティアの文化なんだね、わかったよ。
大魔王さまに手加減なんかしたら、かえって失礼だからね。全力を出すよ。」
わ「え、いや、そこまでは」
ア「それじゃ、いくよ!」
こうして私はついに異界において、ツッコミ役を育てることに成功した。
成功した…のかな?
ちなみに杖装備時のアスバルの攻撃力は780程度。
私の守備力では、ダメージは3ケタに届く。
もし会心が出ていれば、命の危険を感じるレベルだった。