5月までは爽やかだった気候も、6月に入ると幾分様子が変わってくる。
妙に蒸し暑い日が来たかと思えば急に冷え込むこともあるし、そうこう言っている内に梅雨がやってくる。
昔の人は農家が多かったから、雨も嬉しいものだったのかもしれないが、現代の小学生にとってはそんなものは関係がない。唯々、雨は多いし休みは少ない、その上面白い学校行事は無いときたら、1年で最もつまらない月という、甚だ不名誉な扱いを受ける月になってしまっているのが現状だ。
エルトナ大陸の中央に位置するここアズランでも、3人の小学生が6月の意義について話していた。

「だいたいよー、祝日がさっぱりないってのは問題だぜ。そのくせテストはあるんだからなー。まいっちゃうよ」
6月の祝日問題を一席ぶっているのは色の黒い、ぎょろ目の小学生だった。
「休みがなかったらテスト勉強なんてする暇がないじゃないか。これは問題だぜ」
身体つきは小さいものの、態度のほうは大きいようで、机に腰かけて大声でがなり立てている。

「しかしねえ、ハチベエくん。君はそもそも休みがあっても勉強しないだろ?だったら同じことじゃないの」
ラッキョウにメガネをかけさせた様な痩せっぽちの少年が、色黒少年にチクリと皮肉を言った。
「そりゃ俺はそれでいいけどさ。俺はみんなのためを思って言ってるんだ。休みが増えたら嬉しいだろ、な、モーちゃん」

「ハチベエちゃんが学校に休みを増やしてって頼んでくれるの?うれしいなあ。ぼく、こないだカレンダー見てたら6月は休みが無いって気がついて食欲減っちゃったもん」
モーちゃんと呼ばれた、およそ食欲が減退したとは思えないまんまると太った少年は素直に感謝を表明したが、ハカセと呼ばれたラッキョウメガネはそれを鼻で笑うと、
「どうやってハチベエくんが休みを増やせるんだい。いいかい、授業日数というのは学習指導要領というもので決められてるんだよ。僕たちがどうにかできる問題じゃないんだ」
と、小難しいことを言い出した。
ハチベエこと色黒少年、ハカセことラッキョウメガネ、そしてモーちゃんことまんまる少年。
どう見てもちぐはぐな取り合わせの3人だが、どうしてどうして、これで仲がよく、何をするにも3人でつるんでいる。
そんな彼らを影で「ズッコケ三人組」等と、不名誉なあだ名で呼ぶものもいるらしい。
どうして彼らが仲がいいのかわからない、という読者諸氏もいらっしゃるとは思うけれど、なに、どう見ても取り合わせの悪そうなバトマスと魔法使いが混在するパーティだってある世の中であるし、ドラクエそのものもFFどころかアイマスあたりとコラボする日だって来るかもしれない。
ま、何が起こるのかわからないのが世の常で、晴れもあれば雨もある、さながら6月の気候のようなものだということであろう。
(次回へ続……かない)