私はキュウビのテン
キュウビなのにテンだってあはは、おかしいね♪
この名前結構気に入っているの
お母さんがつけてくれた名前だからね
今日も人間界に遊びに来ているんだぁ
だってとっても楽しそうなんだもの♪
いつも草むらから覗いているだけなんだけどね
草むらの向こうからは男の子と女の子の
楽しそうな笑い声が聞こえてきます
いいなぁ…ワタシも一緒に遊んでみたい…
思いきって声をかけてみようかな…?
でも…
そんな時
テンの頭にお母さんの言葉がよぎるのでした
『テン!!また、人間界に行ったのね!!』
『人間は怖い生き物なの!!』
『捕まったらどうなるか分からないのよ!?』
『今後一切人間界に行っては行けません!?』
その言葉を思い出した瞬間ブルブルと体が震えだしてしまいました
やっぱりやめよう…
人間は怖いみたいだし…
テンは楽しい笑い声を背に、重い足取りで里へと帰って行くのでした
その途中…
ポツリ…
ポツリ…
雨かぁ…
ポツポツ… ポツポツ…
ザァーーーっ…
もう…ついてないなぁ
仕方ない…あそこで雨宿りしようっと
テンは雨に濡れた体をプルプルと震わせて
水を払うのでした
どのくらい待ったでしょう…
なかなか雨がやみそうにありません
クシュン!
うう~寒い…
風邪をひく前にこのまま帰っちゃおうかなぁ
って思った瞬間…
遠くから足音が…
いけない!!
誰か来た!?
どうしよう…どうしよう…どうしよう…
そ、そうださっきの女の子に化けておけば…
テンは急いで化けるのでした
しかしまだまだ未熟なテン
よし…
こ、これで大丈夫…かな…
黒いカサをさしながら走って来る…
よりにもよってさっきの男の子…
男の子は横目で チラリ と
女の子に化けているテンを見て
そのまま走って行きました
ふ~、一安心とその場に腰を下ろしました
しかし安心したのもつかの間、
顔を上げてみるとさっきの男の子が怒った顔をして
目の前にいました
怒った顔の男の子はテンに向かって一言
【ん!!】
『えっ?なに?!』
【ん!!!】
男の子はテンの目の前にカサを置き
逃げるように走り去ってしまうのでした
急いでそのカサを返そうと手にとるテン
しかしテンはカサを返そうとはしませんでした
カサの柄を伝ってきた人間の温もり
ううん
なによりも
男の子の温もりをずっと感じていたかったから…
To be continued?