今日は討伐隊員のマダラキさんに同行することになった。
「たまには体を動かさねえと、鈍っちまうからな。ま、よろしく頼むわ。」
彼は普段は討伐任務の窓口役をやっているエルフの青年で、私達は仕事上、以前から会話する機会があって見知った仲だった。
今日は人手が足りないという事で、急きょ現場に出るように命じられたらしい。
一緒に行かないかと誘われたので、今日は共同で任務に当たらせてもらうことになった。
場所はキリカ草原。標的はリザードマンだ。
二人で討伐をやると効率も段違いだった。
「いやー、やっぱりアンタと一緒だと鍛錬になんねぇな。楽勝すぎるぜ。」
私を持ち上げるが、それでもさすがは討伐隊員といった実力で、槍の一閃で多くのリザードマンがなぎ倒されていった。
「こっちこそ、こんな事でお金を貰えて良いのかと思うくらいですが。」
「いいっていいって。アンタにゃ色々、頑張ってもらってるからな。…ところで、そろそろ腹減ったなぁ。」
マダラキさんは槍を背負うと、軽くお腹をおさえた。時刻はお昼を少しまわったところだった。
「そうですね。お昼にしましょうか。」
私達は安全な場所を探し、腰を下ろした。
「アンタ、自炊してんのか?」
マダラキさんは私の弁当箱を覗きこんで言う。
「いえ、同居人に作ってもらってます。」
「旦那さん?」
「女友達です。」
「へぇ、そうか。…しかしなんというか。個性的な、弁当だな…。」
お弁当の中身について、コメントに困っているようだった。
「あはは。…まぁ、変わった子です。」
私は軽く笑って、無理しなくていいと意思を伝えた。
マダラキさんは軽口は多いものの、根は意外と純粋で優しいエルフだった。
「そういやアンタの事、あんまり聞いたことなかったよなぁ。」
「自分からは話したりしないもので。」
「そうか。ま、討伐やってる奴はワケありな奴が多いからな。」
マダラキさんはどこか遠い目をしながら、パンを齧った。
「…俺がこんな事言うのもなんだがな。守りたい奴がいんなら、この仕事から早いこと足洗ったほうがいいぜ。自分が死んじまったら、おしまいだからな。」
「…はい。」
何かあったのか聞こうとしたが、寸前でやめた。
恐らく彼もワケありの一人なのだろう。
「さーてと。残りもちゃちゃっと片づけるかな。」
私達は昼食を食べ終えると、残りの討伐をさくっと終わらせて帰還した。
「おーい。シュピー。」
帰宅し、私はいびきをかいて寝ているシュピの頬をつついた。
「ほへ?あ、ジュセ。おはよー。」
シュピは間抜けな声を出してむくりと起きる。
「…ご飯、まだだよね…。」
「えへへー…ごめんー。」
「よろしくね…。」
私はため息とお腹を鳴らして、椅子にへたりこんだ。