昼食後。
風呂掃除が済むと、私は風呂桶に洗剤を入れて水で薄め、さらにキッチンからストローを取った。
それらを持って、
「シュピ、おいで。」
ごろ寝しているシュピに声をかけ、一緒に庭へと出た。
「わー、すごいー!」
私はストローの先端を洗剤液につけ、吹くと小さなシャボン玉がいくつも飛んでいった。
それを見て、シュピはぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。
「ねー、やらせてー!」
シュピは私からストローをふんだくると、同じように洗剤液につけて、勢いよく吹いた。
だが、先端からつけた液が少し飛び散っただけだった。
「…あれー?とばないー?」
「強く吹きすぎだよ。もっと優しく吹かないと。」
「うんー。……ふー……。あれー?」
シュピは不満げに私を見つめた。
「あはは、今度は優しすぎ。いい?こうやって……。」
私は何度もお手本を見せてあげたが、それでもなかなかうまくいかず、シュピは半べそをかいた。
「大丈夫だよ、諦めないで。目を閉じて、落ち着いて、膨らんでる様子をイメージしながら吹くの。」
「…ふーっ…。」
シュピは命を吹き込むように、優しく息を送り込んだ。
「! これは…。」
初めは小さなシャボン玉だったが、それはどんどん大きくなっていき、ある程度大きくなるとストローの先端をゆっくり離れた。
「と、とんだー!ジュセー!」
シュピはストローを放り出し、私に抱き着いてきた。
「うん、やったね!」
私もシュピを称賛し、頭を軽くぽんぽんと叩いた。
空を見上げると、大きなシャボン玉は屋根を超えようとしている所だった。
「(空まで?)いくかなー?」
シュピは目を輝かせながら言った。
「どうかな。宇宙までいくかもしれないよ。」
シャボン玉は屋根を超え、さらに高く飛んでいく。
かに思われた。
太陽に重なり合った瞬間、それは呆気なくはじけてしまった。
「あ…。」
陽光できらきらと輝く飛沫が、私達に降り注いだ。
「あー…われたー。」
残念そうな声が聞こえた。
「いくとおもったのになー。でもすごかったー!…あれー、ジュセー?」
私はシュピにつつかれ、はっと我に返った。
「…あ、ごめん。」
「どうしたのー?」
シュピは首をかしげて私を見た。
「…いや…その…。洗濯物取り込むの、忘れてたなって。」
「あー、そうだねー。もどってるー。またねー!」
「…うん、また…やろうね。」
シュピを見送ると、私は黙々と洗濯物を取り込んだ。