仕事の帰り道。
いつもは静かなアズランの町が、やけにざわついている事に気が付いた。
住民達が丈の長い服を着て、町の中心部へと向かっている。
皆笑顔で、特に嫌な事件が起こったという訳ではさそうだった。
「どうしたんだろう?」
気になった私は、住民達のあとをつけていった。
町の中心部には大きなヤグラが築かれていた。
住民達はその上に乗って太鼓や笛を演奏したり、へんてこなダンスを踊りながら周囲をまわったりしている。
辺りには小さなテントが立ち並び、食べ物を売ったりゲームを催していた。
どうやら、この地方特有のお祭りのようだった。
私は仕事で動いた後で小腹がすいていたので、漂うおいしそうな匂いに我慢できなくなって、出店で食べ物を購入した。
そしてしばらくダンスを見物していたが、急に空しくなってきた。
周囲は家族連れやカップルだらけだ。皆、親しい誰かと一緒にこのお祭りを楽しんでいた。
シュピが傍に居れば良かったが、今の状態では叶いそうにない夢だ。
私は食べ終えると、出店でシュピへのお土産をいくつか購入して帰路についた。
「これなにー!?」
シュピは私の買ってきたお土産を、物珍しそうに見つめた。
「ええと、確かオコノミ焼きとかいうので…。これがタコ焼き、そしてこっちがリンゴ飴っていうお菓子だよ。」
順番に容器のフタを開けて、シュピに説明していく。家中に、ソースの甘辛い匂いが充満した。
「わー、いいにおいー!」
「好きなの食べていいよ。」
シュピは普段食べられない珍しい食べ物を、片っ端から満足げに平らげていった。
「ジュセ、たべないのー?」
途中、ソースだらけの口で私に尋ねた。
「私はさっき食べたからね。」
私は口の周りをふいてあげながら、全部食べるよう促した。
「出来れば、シュピと一緒に行って食べたかったなぁ。」
「おまつりー?」
「うん。太鼓と笛に合わせてみんな変なダンスを踊ってて、面白かった。お店もいっぱい出てて、明かりがきらきらしててすごく綺麗だったよ。」
「そっかー、いけたらなー。」
シュピは少し寂しそうな表情を見せた。
外の様子を少しでも味わってもらえたらと思ったのだが、実際に体験できなければ辛いだけなのかもしれない。
私は反省した。そしてそれとともに、ある考えが浮かんだ。
「…そうだ、やろうよ!」
「えー?」
「お祭り。ここでやればいいんだよ。」
「う、うーん。」
シュピはよく分からないといった表情だ。
正直、思いつきなので私自身もはっきりした段取りは分からない。
でも、なんとかなるだろう。今までだってそうだった。
「まあ、まかせといてよ。」
私は胸を叩いて、そう言った。
「…うんー!」
シュピは笑顔になった。