シュピが熱を出して寝込んでしまった。
布団で安静にさせているが、熱が引く気配が無い。
朝、食事が出来たのでシュピを起こそうとすると、汗びっしょりで体が熱いのに気が付いた。
呼吸も荒く、辛そうな表情だった。
「シュ、シュピ!!」
私は慌てて氷枕とおしぼりを出し、シュピの頭に当てた。
虚ろな目で私を見つめるシュピ。
「…ごめん、気が付かなくて。大丈夫だよ。すぐ良くなるから。」
私は気をしっかりと持ち、シュピを励ました。
「うんー…。」
シュピはゆっくりと頷いた。
だが、このままじっとしていてもいいものか。
「シュピ。何かやってほしい事、ある?」
私はシュピに聞いた。
「おなかー…。」
「お腹がいたいの?」
するとシュピは首を振り、食卓をゆびさした。
「すいたー…。」
「……。」
シュピは朝食を、私の介助でぱくぱくと食べた。
「…しんどいのに、食欲はあるんだねぇ。」
それを聞いて、シュピは照れくさそうな笑みを浮かべた。
「はぁ。この調子だと、心配いらないかな。」
私は自分に言い聞かせるように、安堵の声を漏らした。
その後も、私はシュピに寄り添っていた。
食欲はあるものの、かなりしんどい事には変わりないようだ。
聞こえているか分からないが、私は時折独り言のように語りかけてみた。
「そういや私も前に、熱出した事あったなぁ。」
新生活が軌道に乗った直後、私は風邪をひいて寝込んでしまった事があった。
「あの時は大変だったよ。シュピが薬買いに家飛び出そうとしたり、コテコテのメガ盛り丼食べさせられたりさ。」
風邪自体よりも、慌てふためくシュピへの対応のほうがしんどかった気がする。
「でも、一生懸命看病してくれたよね。すごく元気もらえたよ。嬉しかった。」
今、私に出来るのはシュピの身の回りの世話と、かつて自分がしてもらったように傍で励ましてあげる事くらいだ。
「…今度は私が頑張らないとね。」
気が付くとシュピは眠っていた。
私は、起こさないようにぬるくなった額のおしぼりをそっと交換した。