シュピが目を覚ました。
夜。私はいつの間にかシュピの枕元で眠ってしまっていた。
突如、右腕に鋭い痛みを感じた。
びっくりして飛び起きると、シュピが布団から這い出てきて、私の右腕にかぶりついているのが見えた。
かなり強く噛まれたためか、血がにじんでいた。
「シュ、シュピ…!」
私はあわててシュピを振りほどくと、すぐに床に押し倒すように抱き着いた。
「だ、大丈夫なの…?しんどくないの…?」
じたばたと手足を動かすシュピ。体はまだ熱いが、元気なようだ。
「ああ…。もうダメかと思ったよ。…わっ!」
私が油断した隙を狙って、シュピはまた噛みつこうとする。
「ちょ、ちょっと。お腹空いてるからって、私食べちゃダメだよ。もう、寝ぼけちゃって。」
傷の手当てをして、食事も作ってあげたいがこのままでは出来そうにもない。
私は咄嗟にシュピの体を持ち上げ、風呂場へと連れて行った。
「ごめん、ここで待っててね。」
そう謝ると、タンスや机でドアを押さえつけた。
とにかくまずは傷の手当だ。
私は救急箱を持って家を飛び出し、家のすぐ近くの川へとやって来た。
そして川の水に傷口を浸した。
「痛った…。」
思わず顔をしかめる。腕の傷はかなり深かった。
迂闊だった。
こうなる事は予測できたはずなのに。
だが、今は自分の事を考えている場合ではない。
私は痛みを堪え、入念に傷口を洗浄した後薬で消毒すると、包帯を巻いて応急処置を済ませた。
そしてシュピの待つ家へと戻っていった。
物音で私が戻ったのが分かったのか、シュピはドンドンと風呂場のドアを叩いた。
「ごめん、今すぐ何か作るよ。」
シュピが倒れてからずっと付きっきりだったため、家の中には食材がほとんど残っていなかった。
残っているものをかき集めて、なんとか腹持ちの良さそうな丼を作って、ドアの隙間から差し入れた。
途端、中から轟音が聞こえてきた。
「…買い出しにいかないとな。あと、挨拶にも。」
私は右腕を押さえ、ドアの前で再び眠りについた。