大変長くなりましたが、これが、あの二人に起こった悲劇の真相です。
…いえ、悲劇ではありません。
二人はただ一生懸命に、平穏な日常を生きただけでした。
平穏な日常というものは、実現するのは簡単なようで、実は非常に難しいと思います。
何故なら、自身を取り巻く環境がそうさせてくれないからです。
事故、災害、病気、そして死…。
苦境が、安息を許すまいと言わんばかりに容赦なく押し寄せてきます。
それらからは決して逃れる事はできません。
しかしそれでも苦境にめげず、穏やかに生きようとする事……。
それは決して逃避ではないと思うのです。
あの子は平穏を愛しながらも、過酷な運命に立ち向かった立派な戦士でした。
私の悲しみは、まだ当分癒えそうにはありません。
あの子が死んだことすら、未だに信じる事が出来ないくらいです。
昔からあの子は考えが読みづらく、私の意表を突くことばかりやってくれたものです。
今にでも玄関のドアを叩いて、「ただいま」と、何事も無かったかのように帰ってきそうな……。
そんな予感さえします。
今はまだ、そんな希望に甘えていたい。
しかし、いつかは必ず立ち直りたいと思います。
ジュセの日記に込められた"最後の願い"を私が汲んであげられなければ、あの子も浮かばれません。
そしていつか再会した時に、私がしっかり気を持っていなければ示しがつきません。
その場所が現世であろうと、あの世であろうと。
私は言うつもりです。
「おかえりなさい」と。
あの子の人生に触れてくれた、全ての方に心からの感謝を。
-終-