Phase 16『さよなら。私のちいさなゆうしゃさん(後編)』
クリスマスイブを翌日に控えた、2015年12月の夜。
仕事が終わって、いつものようにゲームにインをすると、ほとんど来客もない自宅のスライムチャイムが、珍しくオレンジ色に光っているのに気づきました。
「メリークリスマス! お姉ちゃん」
それは、半年前にDQXの世界から旅立った、「ヒロくん」からのメッセージでした。
私の家の住所も忘れずに覚えていてくれたヒロくんは、出会ったときとまったく同じ姿に再び生まれ変わって、アズランにある私の家まで訪れてきてくれたのです。

「僕、お姉ちゃんの『弟』になりたい」
再会した私に、中学生になって少し大人になったヒロくんが言いました。
「初めて出会った日のこと覚えてる? グレンで助けてって叫んでたとき、あんなに人がいっぱいいたのに、声をかけてくれたのは、お姉ちゃんひとりだけだった」
「僕が弱くて大魔王に勝てなくても、お姉ちゃんは文句も言わずに何回も何回もいっしょに戦ってくれた。あのときのお姉ちゃん、最高にかっこよかった」
「…僕もお姉ちゃんみたいになりたい。僕が弟になって、ウィルカといっしょに困っている人を助けたい」
ヒロくんの想いを知った私は、ウィルカの兄として育てていたプクリポの「チャスカ」を、『キャラクター引っ越しサービス』を使って、ヒロくんに譲り渡しました。
そうして私とヒロくんは、この世界で「姉弟」になったのです。

10年前の当時。
バージョン3の「氷の領界のボス」が異常なまでに強すぎて、倒せずに挫折してゲームを辞めてしまう人たちが少なからずいました。
その後に戦士からパラディンとなったヒロくん…いや、弟のチャスカは、自身の体よりも何倍も大きなそのボスを、僧侶の私の前方で完璧に抑え込んでいました。
ボスを倒せずに困っている人を見つけると、弟のチャスカは姉の私もパーティに呼んで、二人でその手助けをしていたのでした。
「お姉ちゃんと二人なら、なんだってできる!」
そう言ってくれたプクリポの小さな背中が、うしろで見ているエルフの私には、オーガよりも大きく、誰よりも頼もしいものに見えました。
…そうした、ある日。
「本当のお姉ちゃんに、会いたい」
私は、ウィルカに好意を抱いてくれるチャスカに、「本当の自分」のことを話しました。
それでもチャスカは、「お姉ちゃんは、僕のお姉ちゃんに変わりない」と言ってくれました。
リアルの私は、ゲーム以外にも乗馬をしたり写真を撮ったり物語を書いたりと、様々な趣味を楽しんでいました。
それらをブログで公開していたのですが、DQXをはじめてからは、記事の更新もまったく行なっていませんでした。
それを知ったチャスカは、私がそうなってしまったのは「ウィルカ」のせいだと言いました。
「このままでは、お姉ちゃんはだめになってしまう。僕といっしょにドラクエを辞めよう」
私は彼の言葉を受け入れ、チャスカといっしょにウィルカとすべてのキャラクターを、この世界から消し去ったのです。

しかし。
結局ひと月も経たないうちに、私はドワーフを、チャスカはウェディを作って、またアストルティアに戻っていました。
そして。
「以前のフレンドとは一切関わらない」
という弟との約束事を破った私は、一度消したメインキャラクターの「ウィルカ」の命を再び蘇らせ、ウィルカとチャスカが属していたチームのリーダーにコンタクトを取ってしまったのです。
その事実を知ったチャスカは失望し、もう二度と、私の前に現れることはありませんでした。
勇者の貴方は消えたのに、盟友の私だけが生き返った。
貴方の純粋な想いを傷つけ、裏切った私を、貴方は決して許してくれないでしょう。
でも。
貴方と同じくらい、かけがえのない人たちがこの世界にいたことを、どうかわかってほしい。
ありがとう
さようなら 私のちいさなゆうしゃさん
顔も名前も知らない 弟の貴方の幸せを願って
ウィルカ

そして現在。
ヒロくんといっしょに作ったドワーフの「うぃるか」は、チーム「チョコレイツ」のみなさんといます。
記事の作成にあたり、同じチームメイトで最近DQXに復帰した「しろすけ」さんに、「チャスカ」のモデルになっていただきました♪
叶うなら、大人になった貴方とまたここで会えたら。
あなたも私たちのチーム「チョコレイツ」のお仲間になりませんか☆
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文責:チョコレイツ広報担当うぃるか
毎週1回発行 通算18号 メギストリス認可第10083699号