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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

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ザラターンの冒険日誌

2023-09-23 22:20:37.0 2023-09-25 21:32:33.0テーマ:その他

折れた魔剣(8)(※ver6.4までのネタバレ注意)

『 …おい、お前ら勘違いするなよ…!?
  僕はほんの少し驚いただけで、
  別にそんなにビビっていたわけじゃ…

『 うんうん、わかるー。
  怖かったもんねぇあの仮面。

『 聞けよッ!!


…街門を抜け、正式に
【旧ネクロデア領】へと到達したおれ達。
ツキモリとエスタータ、二人の賑やかなやりとりを
ラジオ代わりに、男爵の屋敷跡の座標を目指して
領内を行く。


ツキモリが あの不気味な仮面に
あれほど驚いたのは少し意外ではあったが…
付き合いも長くなると、なんとな~く
彼の本質も、分かってきた気もしている。


ツキモリは…魔族と言うだけあって
おれ達の何倍も長く生きてきたらしいが…

【魔族と言う種族の括りの中では】おそらく、
まだまだ少年と言って良い年頃なのだろう。

きっと荒めの語気も、ぶっきらぼうな態度も。
そんな少年が、世間を渡り行くに当たって、
軽く見られない為に身に付けた『仮面』…
言わば処世術のひとつであり、それは彼の
『本質』とは、また違った側面なのかもしれない。


( うむうむ。そう考えたら、
  少しは可愛げあるように見えるじゃない。


彼らの後ろを歩きながら一人、
腕を組んで目を細める。


『 おい鬼!
  生暖かい目で見てんじゃねえ!
  きめェんだよッ!!


何かを察したのか、
ツキモリが急に振り返って怒鳴る。
おれは表情を変えないまま、片手を上げた。


『 おうすまんw

『 その目をやめろっつってんだよ!
  ったく、どいつもこいつも…!


そのまま特に滞りなく、旅は続く。
亡者達の襲撃を想定していたのだが、
今回はそれも無く、少々拍子抜けである。

しばらく歩いた所で、エスタータが
あっと声を上げた。


『 ねえ、何だろあれ!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 墓…?


崖沿いの一角に、幾つかの、墓標らしきオブジェ。
そしてそれを取り巻くように、
アストルティアではあまり見かけないような、
白く小さな花が群生している…

もっとも、元々花に詳しいワケじゃないので、
おれが知らないだけかもしれないが。


『 綺麗な花も咲いてるね。
  自生?それとも誰かが植えたのかな?

『 こんなゴーストタウンにしちゃ、
  妙に手入れが行き届いてるように見えるぜ。

『 そうかなるほど、もしかしたら…!


思えば、目的地の座標まで随分近づいているはず。
現在地を確認しようと、ファラザードで貰った地図を取り出そうとした、丁度その時だった。


『 おや、
  生きた人間の来訪者とは珍しいな。


突然背後から声をかけられ、
一同、一瞬背筋が凍りつくが…


『 ちっ、亡者か!?
  ったく心臓に悪ィ場所だな!

『 待てツキモリ!!


殺気立って短剣を抜き放つ魔族を、慌てて諌める。
そう。おれは、この声に聞き覚えがあったのだ。


振り返ると、馬に乗った、
見知った人影があった。

後ろに巻いた長い銀髪。
その頭を彩るは、羽根付きのノーブルハット。
スカーフを襟元に、紺のコートをひるがえし、
小盾を腕に通し、馬上槍を携える。

ガートラント騎士顔負けの、勇壮なるその姿。
間違いあるまい、彼だ。
こうもすんなり再会できるとは、ありがたい。






☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 お久しぶりです、デッドリー男爵!

『 君は…おお、ザラターン君か!


再会の挨拶を交わすおれ達を一目見た後。

ツキモリとエスタータはしばらく
顔を見合わせていたかと思うと、
異口同音に叫んだ。


『 【しにがみきぞく】じゃねーか!!
『 【しにがみきぞく】じゃん!!



『 ああ悪い、説明してなかったか…
  この人が件の…


『 …君達。
  人を見るなり、いきなり
  しにがみきぞく とは…
  いささか失礼ではないかね?
  私は……


男爵の目に、紅い眼光が灯る。
やばい、二人の態度が気に障ったか!


『 そ、そうだぞお前ら!
  デッドリー男爵はな!
  かつてはネクロデアに仕えた
  魔族の騎士で…!!


慌てて場を取り繕おうとするも、
男爵の眼光は強くなるばかり。
なんてこった。


『 いいか、私は……ッ!!


男爵は語気を強め、
大きく息を吸い込んだ。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆




『 【しにがみきぞく・強】だっ!!
   わっはっは!!!




『『『  …………   』』』



『 わっはっは!!!



木枯らし吹くネクロデア。
デッドリー男爵が、白い歯をカタカタ鳴らしながら
笑う声だけが、いつまでも、いつまでも
鳴り響いていた。



~つづく~
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