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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ザラターンの冒険日誌

2024-05-04 22:22:54.0 2024-05-06 00:21:31.0テーマ:その他

天星(11)(ver6範囲までのネタバレ注意)

倒れた竜の元へ、僧侶が慌てて走ってゆく。


『 ま、マジか…

『 ドラゴンを…一撃で…?


一瞬の惨事に、開いた口の塞がらない一同。

その沈黙を破るように、深翠の試練場に
一陣の冷たい風が吹きすさんだ。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


( み、見た目は まんまアレだが…
( あ、ああ、コイツ…!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆





((( やっべぇぇえッ!! )))




敵将ジア・イロンは、竜を吹き飛ばした自らの拳に、まるで埃を落とすかのようにフッと息を吹きかけた。

『 この座標の兵力の消耗が、
  一番激しかったからさァ…
  居ると思ったんだけどね、ここにィ。

  いないのかい、エックスさんとやらはァ?
  こっそり教えてくれると、
  嬉しいんだけどォ…?
  

『 だ、誰が敵にそんな事
  お、教えるかよ…!

『 俺達をナメんじゃねえぞ、
  ジア・クトが!


誰かが、『舐められたらおしまい』とばかりに
ジア・イロンを睨む。

それを見てイロンは、大袈裟にため息を
吐いてみせた。


『 やれやれ…嫌われてるねェ…
  でも、誤解しないでおくれよォ?

  ボクはさァ…だァい好きなんだ!
  キミ達、血肉を持つ生命体がァ!


『 何を…言ってる?


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 だって、そうだろォ?
  キミ達は儚くって、美しいんだものォ!
  無機質なボクらと違ってねェ!

  キミ達を切り裂いたら迸る、
  あの赤い体液も…
  殴って骨格が ひしゃげてゆく 
  あの軽快な音もォ!
  趣があって、ボクゥは、大好きなんだよォ…!

  勿体なァァいッ!!
  “滅浄の大光“で、
  あっさり全部結晶化なんてェッ!!


イロンは語りながら、
天を仰いで恍惚の表情を浮かべていた。


( こ、こいつ…!!


『 エックスさんも、来てくれるかなァ…?
  キミ達の、美し~い断末魔を、
  この座標に、響かせ続けたらァ…!

  うん、決めたァ!そうしよッ!!


そう言って、我々に向き直ったイロンの顔は、
先程にも増して、とびきり邪悪な笑みで歪んでいた。
凄まじい威圧感。
誰かが唾を飲む音が聞こえる。


( 気圧されるな…奴の思うツボだ!


魔剣を飾る、冥曜石が煌めく。

剣持つ手と、ついでに尻尾にもチカラを込めて。
精一杯の勇気を振り絞り、
おれは一歩、前へと踏み出し、叫んだ。


『 お前の好きにさせてたまるかッ!!


多くの勇気ある叫びが、それに続く。
それが、再びの開戦の合図となった。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆



しかし、その後…


イロンの圧倒的な戦闘力は無論の事、
将の出陣に伴って、やおら士気を取り戻してきた
ジア・クトの残存兵達を相手に、
戦況は次第に、劣勢に転じつつあった。


『 余力がありそうな他の戦場に、
  援軍を要請して来る!
  何とか持ち堪えてくれ!

『 ええ、は、早めにお願いね!


歯を食いしばって、手負いの天使の
一人が飛び立って行った。


『 『いのち だいじに』、だ!

  限界だと思ったら迷わず退けよ!
  ぼこぼこ死なれちゃ、
  寝覚めが悪りぃってモンだ!


命の限り戦おうとする若い騎士を、
隻眼のバトルマスターが諭す。


『 ぐう…ちくしょう…!


力尽き、一人、また一人と、
戦線を離脱してゆく。


敵将、イロンの相手には、
常に10人以上の冒険者が同時に当たり、
傷ついた者を入れ替えつつの
ローテーションを組んで戦った。

合計ですでに、30人以上の
名うての冒険者を相手にしている筈だが、
当のイロンには、疲れの表情すら見られない。


『 おいおい、英雄達は、日常的に
  こんなバケモンと戦ってるってのかよ…!

『 ボヤく元気があるならイロンの相手
  代わってくれぇ!
  き、気を抜いたら こ、殺される!


そこかしこから、悲鳴が上がる。


…侵略者ジア・クトに、
勝利できると思ったのも束の間。

幹部クラス、ただの一人に戦況は覆され、
我々は翻弄されている。


( くそ、甘く見ていたのは、
  こっちだったって事か…!?


おれは頭を振って その弱気な考えを打ち消し、
ふらつく身体を叱咤しながら走った。


『 よっしゃ、おれが代わる!

『 あ、ありがて~!



~つづく~
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