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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 136

ライブカメラ画像

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ザラターンの冒険日誌

2025-09-13 21:35:14.0 2025-09-13 21:58:39.0テーマ:その他

ストレンジャーズ(19)(※ver7.1までのネタバレ注意)

『生きよ』。


…駆けつけたリズク王のただ一言の激励に、
一瞬、静まり返った広場。

各々が顔を見合わせ、固唾を飲みながら
己の拳や武器を見つめ直している。
王は強い眼差しのまま、その様子を
ただ真っ直ぐに見据えていた。


『 そうだ…生きるんだ…


…最初に誰かが、静かに呟いた。


『 オレ達は…まだ戦える!
『 おう、やってやる!
『 こんなところで死ねないよッ!!
『 生きる…絶対に生き残るぞ!


それを皮切りに、呼応の声が次々と続く。
数秒と待たぬうちに、
広場は熱気と結束を取り戻していた。

その様子に、若き王は力強く頷く。


『 そうだ!
  皆、今しばらくの辛抱だ!

  イルシーム達が必ず、フーラズーラどもの
  親玉を討ち倒すだろう。
  さすれば…此奴らは消える!

  全員で生きて…明日を迎える為に…!
  一人一人の未来の為にッ!
  今しばらく、
  歯を食い縛り共に戦ってほしいッ!!



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


続く王の言葉に、広場はたちまち
割れんばかりの歓声に包まれた。


『 そうだわ!イルシーム様ならばきっと!
『 イルシーム卿が必ず!!
『 イルシーム殿を信じようッ!
『 イルシームさまがーっっ!
『 イルシームがッッ!!


『『『 アマラークに勝利をッ!! 』』』



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 ははっ!すごいや…!
  さっきまでとは、
  みんなの気合いが段違いだ!


戦いながら、クーが感激の声をあげる。


『イルシーム』…その名が出た途端に、
広場は更に結束を強めた気がする。

おそらくは、おれ達で言うところの
『エックスさん』のような…
この国の、人望ある英雄の名なのだろう。


かくして、凄まじい熱気が渦巻く中。
アマラークの人々の、
希望に満ちた猛反撃が始まったのだった。


そんな広場にあって、おれはというとー…


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 なんか…おれが良いこと言ってたのが
  全部…リズク王と『イルシーム?』に
  持ってかれちまってない…?

『 はっ、お前、
  言うほど良いこと言ってたか?

『 ね。はなぢ出して
  わめいてただけじゃん?

『 えっ…?


…魔族に尻を小突かれ、
吟遊詩人に背伸びで鼻を拭われながら、
その二人の酷評に絶望していたのだった。


『 ちっくしょう…やってやる…

  かくなる上は、意地でも生き抜いて…
  真のヒーロー…イルシーム卿とやらの顔を
  一目拝んでやらァッ!!

『 んだそりゃ…

『 あっはは、よぉし…!
  じゃあ気合い入れなおそ!


やけくそ気味に敵陣に斬り込む鬼を見送りがてら、
吟遊詩人が力強く竪琴を爪弾いた。


“  たとえ全ての麦が倒れ
  水が干上がり 涙枯れても…
 
  お前の声が枯れない限り!
  救いは必ず訪れる! “

『 きざめぇーッ!!
  “たたかいのビート“ッ!!


タービアの穀倉地帯と案山子から
連想したのだろうか。
即興で紡がれたエスタータの『小さな英雄の詩』が、広場の熱気と反撃の勢いに拍車をかけてゆく。


その勢いに背を押されながら
前線で剣を振るうさなか、おれはー…


さっき根性で張った
最後の“防塞領域“が、
その効果時間をまっとうして
静かに消えてゆくのを感じていた。


たがー…


それでも。人々の中に
絶望の顔を浮かべた者は、もはや。

ただの一人もいなかった。


~つづく~
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