結局、【創失の呪い】について…
パドレ卿から得た説明と、
ドゥラ院長を詰めて得られた情報を纏めると
こうだ。
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アストルティアが創世されるよりも、
もっと、ずっと、ずっと昔。
とこしえのゆりかごと呼ばれた世界…
つまり『果ての大地ゼニアス』を、
ジア・クト念晶体が襲撃した。
形勢不利と見たゼニアスの創世神、
【 グランゼニス 】は、
自らの娘でもある若き女神、
ルティアナに創生の秘技を託し、
箱舟に乗せて世界の外へと逃す。
女神ルティアナは、
永き漂流の果てに辿り着いた宙域に、
新世界【アストルティア】を創世する事に
なるワケだが…
…とまあ、ここまでは。
アストルティアの住人である
おれ達にも馴染みがある、古い神話。
今回問題となったのは、
ルティアナ神を逃して後の
【ゼニアスの話】だったのである、
…ゼニアスに残った主神、グランゼニスは、
そのまま世界が、なす術なく
ジア・クトに蹂躙されるのを良しとしなかった。
奴らへの対抗処置として取った、最後の手段。
それこそがー…
【 創失の呪い 】と
呼ばれる呪法だったのだという。
呪法のチカラは凄まじく、
ジア・クトという種、全体を蝕んでゆき…
結果、奴らを撤退に追い込む事に成功した。
しかしー…
呪いのチカラは、凶悪な諸刃の剣で、
それを生み出した主神にすら
制御する事ができなかったのだ。
ゼニアスそのものを創失させんばかりの呪法の暴走を抑える為、主神は呪法ごと自らを封印し、
永い、永い眠りについたのだという。
と、この話は一旦、置いといて…
しばらく前、キィンベルで起こった創失騒動の
直接的な原因は、先のジア・クト侵攻の際に、
奴らを蝕んでいた創失の呪いが、
我らが世界、アストルティアにも飛び火…
言わば伝染した、という事だったらしい。
つまり…これを放置すれば、
アストルティア全土すらも、
いずれは創失してしまう事になる。
キィンベルで創失した人を救う為、
そして、ひいては世界を救う為…
可能性を求めて、ゼニアスへ。
これこそが【燈火の調査隊】が帯びていた、
裏の使命だったというワケだ。
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ゼニアス入りした調査隊を導いたのは、
主神グランゼニスと同じく
ゼニアスの地に封ぜられていた、主神の娘にして
女神ルティアナの姉神でもある存在…
【 女神ゼネシア 】
だった。
ゼネシア神を解き放った調査隊は、
その加護と導きの下にゼニアスを東奔西走…
結果として、呪いの大元である
グランゼニス神を目覚めさせるに至り…
その主神の意向の下、彼の神自身に引導を渡す事で
創失の呪いそのものを、
綺麗さっぱり消し去ることに成功したのだった。
だが、過去に呪いで消えてしまった者達、
その全てが戻ってきたワケでは無いらしい。
創失の呪いを受け、
他者から認識できなくなってから、
実際に その存在が消えてしまうまでには、
しばらくの猶予があるらしく…
完全に消え去ってしまうまでに
呪いから解放する事ができた人達だけならば、
救う事ができたのだそうだ。
( アレナも、パドレ卿の奥さんも
多分、危ない所だったんだな…
他に誰が消えてたかは、
普通の人間には認識すらできない、てか。
文字通り、神のみぞ知るってヤツか…
聞いた話だが、神々のような力ある存在ならば
他者の創失からくる
記憶改竄の影響を受けないで済むらしい。
今回のような とんでもない事件が
無事解決したのも、
誰かの創失に、いち早く気付いた者がいたから
だろう。
そうでなければ最悪、誰ひとり気付く事なく。
ひっそりとアストルティア自体が
消え去っていた可能性すらある。
まったく、恐ろしい話だ。
( 創失に対抗する術…
それは単純に、身に秘めた創生のチカラの差か、 それとも…
世界の管理者たる者の
特権みたいなものなのか…?
なんとなーく、
高い所から世界を俯瞰で眺めている
神様の様子を想像してみると…
自分がなんだか、箱庭の中で踊っている、
小さな人形でしかないような気持ちになってきて、
おれは考えるのをやめたのだった。
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しかし…
良くも悪くも怒りの矛先を失い、
クーの記憶探しも行き詰まっている今…
おれ達は次に、何を目指すべきか。
そんな話を仲間達としているとー…
“ ふふー、こういう時はー… “
吟遊詩人が、曰くありげに微笑んだ。
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“ 息抜きっ!! “
~つづく~