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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 140

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ザラターンの冒険日誌

2026-07-18 22:55:15.0 2026-07-19 08:13:57.0テーマ:その他

執行者(9)(※ver7.3までのネタバレ注意)

虫の声。鳥のさえずり。
ざり…ざり…と、落ち葉踏む音。
鬱蒼とした、魔の森を行く。

見上げれば、灰白色の見慣れぬ葉をつけた樹々。
その生い茂る葉の間から差し込む
黄昏時の木漏れ日が、
そこかしこに漂っている謎の燐光と相まって、
仄暗い旅路を妖しくも幻想的に染め上げていた。

…ゼクレス魔導国を擁する魔界東部、
ベルヴァインの森。
この場所を訪れるのも、もう幾度目かになるが…
未だに方向感覚を狂わされそうになる。

というか、土地勘のあるツキモリがいなければ、
まだまだ全然、迷子になれることだろう。

黙々と先導する相棒の背を、
そんな無責任な事を考えながら
追いかけていると…


『 確か…ここだ。


丁度ツキモリが、赤い水が流れる小川を
指差しながら、口を開いた。
指の先、沢の上流を眺めると、
洞穴のようなものが見える。


『 …行くぞ。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


“ ゼクレスに潜入…
  できるかもしれねェ… “


ツキモリの呟きに、耳聡く。


“ 何だって?
  おい小僧、その話、本当か!?“


食卓に突っ伏していた赤毛の魔王は、
勢い良く起き上がった。

王の突然な小僧呼ばわりに一瞬、
ぴくりと眉を動かしたツキモリだったが…
相手が自分と同じ時間感覚で生きる魔族だからか、
言及まではしなかったようだ。
咳払い一つで、話を続ける。


“  僕は昔、ゼクレスで奴隷のような生活を
  してたんだがー…
  脱走した時に使った
  【抜け道】が、まだ残ってるかもしれねェ。“


魔の森に存在する、いわゆる地下水脈の一部が、
ゼクレスの街の下水道の一角と、壁穴一つで
繋がっているのだ、と、ツキモリは語った。


“ おいおい、
  そんな不備を国は放ってんのかよ。“

“ 下水道は入り組んでて広い。
  それにー…そこの掃除やら汚水処理…

  汚れ仕事は魔物や下級民…『下々の者』に
  押し付けられてるからな。
  お偉い方は構造を理解すらしてねェし…
  
  現場は現場で、誰もスキ好んで
  上に報告なんてしねェのさ。“

“ なるほどな…“


これは使えるかもしれない、と、
ユシュカ王は目を光らせた。
だが、ナジーン殿がそこに横槍を入れる。


“ しかし、潜入には大きな危険が伴います。
  土地勘も必要でしょう。
  決行にしても、人選は慎重にー…“

“ どの道、詳しい場所は僕しか知らねェんだ。
  貰えるモンさえ貰えるなら、
  僕が行ってもいい。“


しかし副官殿の気遣いに、
ツキモリは淡々と答えた。続けて、
『自分一人で行くなら身軽だし、
 リスクも最小限で済む』と提案するがー…

無論、それを黙って聞き流す
おれ達じゃあ無い。


“ おいおい、お前が行くんなら
  おれも行くぞ。“

“ はいはーい、
  一人ダメだし!あたしも行くし!“

“ お、オレも!“


それを予期していたか、
ツキモリは諦め顔でため息を吐く。


“ はぁ…まあそう言うとは思ったよ
  足手まといども。
  とくに鬼…潜入任務だぞ。“

“ うっ…
  でも何があるか分からんし…
  道中、ボディガードは要るだろう!“

“ 詩と演奏も要るだろう!“

“ いや詩と演奏は要らねェ。“

“ そんなことを言うのは この口ですかー!“

“ ほはへ、ふはへんは!“

“ ちょっ…みんな…!“



“ ふ、ははは…! “



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


そんなおれ達のやり取りを見て、
ユシュカ王は大笑いをした。
おれ達は騒ぐのをやめ、
目を丸くして、王に振り返る。


“ 分かった。
  この件、任せていいか、お前ら!

  まったく…お前らを見てると、
  魔界とアストルティアが手を取り合う…
  そんな未来も、
  決して夢物語じゃ終わらないかもって…
  そう思えてくるぜ。 “


笑う王の言葉に おれ達は目を丸くしたまま、
今度は仲間達で顔を見合わせる。

ツキモリが露骨に嫌そうな顔をして、
肩をすくめた。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


かくして。

茂みかき分け、ぐんたいガニの群れを退けて。
辿りついたは、ベルヴァインの地下水脈。

湿っている上、
所々苔むして滑る岩肌に足を取られないよう、
慎重に歩を進める。


『 水底の岩壁にトンネルが見えるか?
  まずは潜って、そこを潜り抜ける。

『 えっ?潜んの!マジで?

『 ザラさん…

『 本当、何しに来たんだ、お前…


魔族の無常な宣告。
…泳ぎの苦手な山育ちのおれにとって、
この潜入は前途多難になりそうである。


『 カエルになれる呪文とか、無いの…?

『 無ェ。


~つづく~
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