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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2022-01-03 21:17:14.0 テーマ:その他

海賊と冬の陽炎(6)~なりきり冒険日誌【※海賊クエストに関する記述あり】

 短銃が空を撃ち、ブーメランが風を切る。
 赤と青、二色の海賊団が左右に別れ、激しくもみ合う。やがて雄叫びが上がると、二つの大波が正面からぶつかり合う。  我々は側面からその様子をうかがっていた……否、マドロックがその位置取りを計算して戦いを仕掛けたのだ。
 青の海賊団はやや劣勢に見えた。数は互角でも戦いの場数が違う。ハルバルドの手斧がフレンジーの剣を跳ね上げる。血の色をまとった海賊船長が、獰猛な笑みを浮かべる。
 私はやや迂回しながら雇われ兵を率いて突撃を開始した。赤の海賊団が逆方向からの波に一瞬、浮足立つ。
 そこにゲーダムが五月雨に矢を射かけた。波が崩れる。
 戦いは水。
 マドロック海賊団がこの機を逃すはずはなかった。

「撃て! 一斉射撃だ!」
 携帯式カノン砲を一列に並べ、次々に発射する。火力の波に、赤の海賊団が飲まれていく。かろうじて砲撃から逃れ態勢を整えようとするハルバルド船長を、側面からの狙撃が襲う。
 総崩れとなった。
 私はかく乱を済ませると青の海賊団に合流した。既に趨勢は決していた。
 ゲーダムは……弓を構えたまま一瞬、こちらを見た。私を……いや、青波の海賊団を。
 暗い洞窟に矢じりが鈍く輝く。眼光。刃より鋭く、昏い。  私は剣を止め、彼を正面から見返した。寸刻の静寂。
 ……ほんの一呼吸のことだ。
 彼は矢を赤い海賊団に向け直し、続けざまに放った。ハルバルドの足元にそれが突き刺さり、逃走を制止する。
 ゲーダムは岩陰から姿を現し、逮捕状を掲げた。

「魔法戦士団だ! 貴様らの令状は既に出ている! 諦めてお縄につけ!」

 同時にマドロックが剣を突きつける。ハルバルドはがっくりと頭を垂れ、捕り物帳はこれでお開きとなった。

 * * *

 ハルバルド海賊団を捕縛したゲーダムは、雇われ兵に命じて連行の手配を整えさせていた。
 観念しうなだれたハルバルドらとは対照的に、マドロック海賊団は戦勝ムードである。

「まさか魔法戦士団と組むことになる思わなかったけど、あんた、大手柄じゃないか」

 親し気に話しかけるフレンジーを、ゲーダムはジロリと睨みつけた。

「組んだ覚えなどない!」

 怒気が漏れる。フレンジーは思わずたじろいだようだった。冗談や軽口を言う雰囲気ではない。

「ただ利用しただけだ。遺憾ながらな!」

 ゲーダムは奥歯をかみしめ、拳を震わせた。

「働きに免じて今回は見逃してやる! だが海賊は海賊。どんなに無害を装おうとも……オレは認めん」

 フレンジーは反感をあらわにし、マドロック船長は……複雑な表情のままゲーダムを見つめていた。
 雇われ兵と共にハルバルド海賊団を連れて、彼は去っていった。
 あとに残されたのはマドロック海賊団、私とリルリラ、猫である。

「いちいち気に障ることを言うヤツだね」

 フレンジーは去っていく背中に悪態をついた。
 そして唇の端を上げ、意味ありげに私に向けて視線を送った。

「魔法戦士ってのはもっとオシャレでスマートな連中だと思ってたよ」
「……同感です」

 私は目を合わせずに腕を組んだ。彼女にもバレている、か。  が、それはいい。それ以上にゲーダムのことが気にかかった。
 魔法戦士団には潔癖なタイプの団員も少なくない。海賊を毛嫌いするぐらいなら、理解もできる。
 だが彼が時折見せる暗い眼光は何だろう。嫌悪よりも憎悪に近い感情をそこに見てしまうのは、私の考えすぎだろうか……。

「ともあれ、一件落着だ~よね!」

 ペッペチ先輩がブーメランを腰に納める。仇敵は逮捕、地図の残り半分も手に入れ、あとは宝探しに精を出すのみだ。持つ者は海の全てを支配すると噂される海神の秘宝。

「別に支配なんてしたくないけどな」
「そ、ロマンロマン」

 船長が地図をつなぎ合わせ、プクリポがそれを覗き込む。彼らにとってはここからが本番だ。
 だがゲーダムの任務は終わり、私の方も……これ以上の調査は不要だろう。

「一件落着、か」

 海の溶ける洞窟に勝どきが響き、マドロック海賊団は意気揚々と引き返していった。

 ここでハッピーエンドになっていればどんなに良かったか。
 本当の事件は、ここから始まっていたのである。
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