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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 138

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ミラージュの冒険日誌

2025-09-07 16:28:18.0 テーマ:その他

バトル・オブ・サバ・カン(6)~なりきり冒険日誌【注:ver7.2までのストーリーに関する記述あり】

 試食会の準備はつつがなく進められていた。
 中央広場にテントが張られ、各種の設備が整えられていく。
 せわしなく動き回るのはドルワーム研究院のドワーフ達と、アマラーク王宮から派遣されてきた料理人、使用人達。両国、初の共同作業である。
 時折、道行く人々が物珍し気に中を覗き込む。ドワーフが珍しいらしい。私もそうだ。歩いているだけでこちらを振り返る人が何人もいる。ウェディ、エルフ、全てアストルティア独特の種族である。
 故に、こんなトラブルも起きる。

「ミラージュ~!この人たちに説明して~!」
 エルフのリルリラが珍しく困り顔で助けを求めてきた。隣には王宮から派遣されてきた料理人達。彼等もまた困り顔でエルフをなだめていた。

「だからね、お嬢ちゃん。火を扱う料理は子供には任せられないの!」
「ち~が~い~ま~す~!」

 私はくの字になって大笑いした。エルフは短身痩躯。オーガやウェディに混ざれば子供と間違われることもある。ましてここはゼニアス。

「大きさならアッチの方が小さいでしょ!」

 リルリラは憤慨した表情でドワーフ達を示した。用意されたテーブルが背たけに合わず、台に乗っての作業である。

「あれぐらい違うと別種族として割り切れるんだろうな」

 私はようやく笑いを収めて息を整えた。

「ともあれ、彼女のことは私が保証しよう。と、言っても私の保証など何の当てにもならんだろうが……」

 私の説明で、ようやく料理人たちも納得したようだ。ウェディの高い身長が役に立ったらしい。

「あ、それとそっちの猫も、毛が舞うと困るので調理場にはちょっと……」
「生え代わりの時期はもう少し先だと思うが……」

 ニャルベルトはどの道、料理上手とはいえない。当日は私と共に警護役にでも回るのがいいだろう。猫は微妙に釈然としない表情で地面に転がっていた。

「なにぶん、異種族の皆さんとの初の共同作業ですからね」

 と、苦笑しつつ声をかけてきたのは薄藤色の内巻き髪を肩のあたりで整えた上品な女性だった。名はライハーナ。派遣されてきたメイド達を束ねる立場にある。
「お手数をかけることになると思いますが、一つ一つ解決してまいりましょう」
「もちろんです」

 私は丁寧に一礼した。
 ……なお、私は別にこの調査隊のリーダーでも何でもないのだが、ウェディ故に一番背が高い。彼女は一番目立つ相手をとりあえずの代表者と見なしたらしい。
 ドワーフ達を交えて話し合いが始まる。
 食品の取り扱い、当日の配置・役割分担。この国の施設は人間用に作られており、ドワーフが作業するためには台座が必要だった。必然的に当日のスタッフはアマラーク組が主となり、ドワーフは裏方に回る。

「缶は常温で保存できますが、あまり極端な環境には置かないように……それから、開封後は早めの消費が必要です」

 ドワーフ達が細かな注意点を上げていく。私はふと、訓練場でのやりとりを思い出してライハーナに話しかけた。

「そういえば、食品の流通はかなり複雑だとか?」
「ええ」

 彼女は頷いた。

「ですのでこの企画は、かなり注目されているのですよ」 

 彼女はサバ缶の一つを指で撫で、意味ありげな笑みを浮かべた。缶に描かれたサバの瞳が、呆けたように街を見上げる。

「それから」

 と、彼女は人差し指をサバから離し、空に向けてピンと立てた。

「この貿易を良く思う者ばかりではありません。この国にも色んな人間がいますから」
「それは、そうでしょうな」

 王宮でも三割ほどの家臣は王の提案に困惑顔だった。第一、異国の食品など簡単に信用できるものではないだろう。

「既にサバカンは人間には毒だとか実は日持ちしないとか、悪い噂も立っているのですよ」
「フム……」

 私は眉をひそめ、腕を組んだ。背びれに当たる風にささくれだったものが混じり始めた。
 確かに不信感を抱くのもわかる。悪い噂が立つこともあるだろう。だが……

「……早すぎる」
「……ええ」

 彼女は私と同質の光を瞳に込め、私を見上げた。のどかな町の広場に、硬質な空気が立ち昇る。
「ですので……皆が注目しているんです」

 一言一言を強調するように、彼女は言った。眼下から見上げるメイドの姿に影が色濃く絡み付く。

「ウェディさんは、どこかの国の戦士様だとか」

 ライハーナの眼差しが、意味深長な輝きを宿す。

「当日の警護役、お願いしますね」

 そしてにっこりと微笑むと、彼女は優雅に一礼し、メイド達に指示を出し始めた。
 ピクリと私の眉が揺れる。私の隣を通り過ぎるライハーナの足取りには、微塵の隙も感じられなかった。
 唸る。
 私は彼女が先ほど見せた眼の光を思い出していた。私と同質の光を。
 テントを風が揺らす。
 日は落ちかけていた。
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