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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 140

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ミラージュの冒険日誌

2026-05-24 22:52:42.0 テーマ:その他

人形の町の魔法戦士(10)~なりきり冒険日誌【注:ver7シリーズのストーリーに関する記述あり】

 最初に気づいたのは白檀の香りだった。
 人だかりの向こうから漂ってくるしめやかな空気は、以前立ち会ったエルドナ大陸のおごそかな典礼を思い出させる。
 中心は一軒の民家だ。人の波をかき分け覗きこむと、そこにあったたのは見知ったエルフの顔だった。
 リルリラはいつもの笑顔を封印し、極めて静粛な面持ちでそこにたっていた。一歩踏み出すと、長衣がユサリと揺れる。キリカ修道会の正装、ケサ・ローブの装いであった。
 隣には神官エステラが同じく神妙な顔つきで控える。そして二人が相対しているのはおそらく即席であろう、質素な祭壇。そこに供えられたのは素朴な造りの、一体の人形であった。
 位牌に刻まれた名前は"ロベール"と読める。私はその名前をどこかで聞いたような気がした。すぐ近くには遺品らしき小物を手に、はらはらと涙を落とす婦人の姿がある。
 遠巻きにそれを見守る人形たち。
 僧侶と神官は深々と頭を下げ、"ロベール"の葬儀を開始した。

 *

 ことの始まりは、絵本だった。子供たちを相手に、絵本に登場する"カミサマ""天国"のことを説明する二人の前に、一人の女性が現れた。オルーサという、恰幅の良い中年女性である。
 彼女は問いかけた。自分の息子は死んでしまった。あの子も"天国"にいけるんだろうか、と。
 ナブレット団長からそこまで聞いて、私は思い出した。ロベールとは報告書にあった名前だ。人形として生き続ける苦痛に耐えきれず、狂気の末に自ら暖炉に飛び込み、焼死した住民の名がロベールだった。
 供えられた人形はロベールそのものではないが、彼が遺品として残した品であるらしい。
 ことの始まりは、絵本だった。子供たちを相手に、絵本に登場する"カミサマ""天国"のことを説明する二人の前に、一人の女性が現れた。オルーサという、少々くたびれた様子の中年女性である。
 彼女は問いかけた。自分の息子は死んでしまった。あの子も"天国"にいけるんだろうか、と。
 ナブレット団長からそこまで聞いて、私は思い出した。ロベールとは報告書にあった名前だ。人形として生き続ける苦痛に耐えきれず、狂気の末に自ら暖炉に飛び込み、焼死した住民の名がロベールだった。
 供えられた人形はロベールそのものではないが、彼が遺品として残した品であるらしい。
 リルリラ・エステラ両名と話すうち"葬式"なる儀式のことを知ったオルーサは、息子のために葬式をしてやれないか、と持ちかけた。二人は迷ったが、遺族の望みならば、とこれを受け入れた。かくして簡略ながらも葬送の儀が執り行われることとなったのである。
 話し合いの結果、弔いはエルドナ式となった。自然、エルフのリルリラが主体となり、エステラは補佐に回る。あくまでアストルティア式ですが、と前置きを入れた上で、リルリラは祈り始めた。

「常世の主よ、空満たす風よ」

 エルフの唇が粛々と祈祷の言葉を唱える。
「今旅立てし御霊をどうか見守りたまえ。道迷わぬよう灯火で照らしたまえ。月満ちて欠け、潮満ちて引く。とわなるもの、うつし世にはあらねども、その御許では永劫の慈愛と安らぎの中にあらんことを許したまえ。また巡り来たる日あらば、喜びの中に地を踏みしめんこと、叶えさせたまえ……」

 人形たちは不思議なものを見る目でその光景を見守っていた。一方アストルティアからの旅人たち葬儀に気づくとめいめいに手を合わせ、あるいは瞳を閉じ、冥福を祈る。エレインも私の隣で指を組んで祈りを捧げる姿をとっていた。ナブレット団長はシルクハットを脱帽し、私も帽子をとって胸に手を当てた。
 色とりどりの煉瓦屋根が、この時だけその輝きを淡く鈍らせたように見える。人形の町に厳粛な空気が漂い始めた。

「往きし者を愛したまえ。送りし者を憐れみたまえ。散りし葉の地に落ちてまた芽吹くがごとく、彼の御霊もまた、我らが歩みと共にあらんことを……」

 リルリラは時折儀礼的に手を振り、あるいは頭を下げ、重々しくも滑らかに祈祷を捧げ続ける。言葉を聞きながら、私は彼女がエルドナ神の名を一度も使っていないことに気づいた。流儀はキリカ修道会式だが、おそらく祈りの言葉も所々変えてあるに違いない。彼女なりの配慮なのだろう。この地を特定の宗派の色に染めないまま、祈りだけを捧げているのだ。

『大したものだ……』

 私は清廉なケサ・ローブに身を包む相棒の姿を眩しく見つめていた。普段は気の抜けたお気楽娘だが、あれでやはり正式な教育を受けた聖職者なのだ。
 やがて戸惑うばかりだった人形たちも、徐々にアストルティア人を真似て祈りのポーズを取り始める。意味は理解できずとも、それはこの町が長い間忘れていた形……数千年ぶりの祈りの形だったのかもしれなかった。
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