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紅蓮の羅刹王

マユラ

[マユラ]

キャラID
: HF944-321
種 族
: 人間
性 別
: 女
職 業
: 魔法使い
レベル
: 140

ライブカメラ画像

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マユラの冒険日誌

2026-03-16 11:57:53.0 2026-03-16 12:10:26.0テーマ:その他

ウェナの碧い海と蒼穹の執事

7 灰色の港町④

(んっん〜……このまま路地に足止めされるのも面白くないのよねぇ。あいつが見えてる内に、ちょっと盤上を弄ってみましょっか)
 鈍色の左脚が高らかな音を立てて石畳を蹴り、エリミリアがそのままの姿勢で後方へ跳ぶ。追って来る相手を視界に入れながら魔力を載せた左脚だけで滑るようにバックしてみせ、時折ドルマ系で追撃を牽制しつつ、路地を抜けた先の少し広い噴水広場へと舞台を移すのであった。全てが石造りで時が止まっているかのような灰色の風景の中、その清らかな水音だけが町の息吹を静かに感じさせる。
「本当はもっとのんびりお散歩したいんだけどね、デートスポットとしては盛り上がりに欠けるかな?」
 噴水を挟むような形で向かい合う魔女と黒騎士。前者が漆黒や鈍色で違和感なく町に溶け込んでいる分、後者のメカニカルなラインの毒々しい彩りが一層の異物感を際立たせている。黒騎士は魔女の軽口に全く取り合う様子を見せず、ただ静かにラインと同色のフォトンサーベルを構えていた。
 次の瞬間――エリミリアが右脚を軸に、まるでコンパスのように鈍色の左脚で石畳に円形を描く。その軌跡が魔法陣として顕現すると同時に黒騎士がフォトンサーベルを突き立てんと踏み込むも、既に魔女は流れるような動作で振り向きざまに杖を向けていた。
「メラゾーマ!」
 詠唱と同時に足元の魔法陣が反応――魔力を暴走させた巨大な火球が黒騎士に直撃、その全身が紅蓮の炎で覆い尽くされる。暗黒系呪文を得意とする彼女ではあったが、相手の耐性が高いとあれば火炎系上級呪文も操ってみせる。周囲のほぼ全てが石造りであり、おあつらえ向きに用意されている噴水を延焼防止のために利用することも吝かではない。
「アーハッハッハァ! 直撃!」
 エリミリアの暴走魔法陣は杖を用いない。魔力が充満している鈍色の左脚での高速円形運動を利用し、ほぼノータイムでそのまま杖を向けて呪文の射出を可能としているそのスタイルは、今回のように単体での戦いを強いられた時に凄まじい効果を発揮する。特に魔法使いの特技を理解している相手であれば、暴走魔法陣の展開中は隙が大きいといった思い込みを逆手に取ることすら可能であった。
「んっん〜、死んだんじゃないのぉ〜?」
 歌い出さんばかりに勝ち誇ったエリミリアの前で、既に灰燼と化していてもおかしくない業炎で身を焼かれている黒騎士が噴水へ飛び込み、凄まじい蒸気が辺りに立ち込める。不意に視界を奪われたエリミリアの瞳には、スチームの向こうからこちらに向けられている鋭い緑の視線と、その全身がスパークしている黒騎士の姿が確かに映っていた。
(ゲェェ! 延焼を防ぐための噴水を逆手に取ってきやがった!)
「……ってか、そういう次元の話じゃなくない!?」
 思わず途中で心の声が出てしまうエリミリア。考えてみれば当然の手段ではあるのだが、それでも生きていること自体が奇跡と言える耐久性をもって、黒騎士が再び魔女の前に立ちはだかる。
「なら何度でも――メラゾーマ!」
 再び暴走メラゾーマが黒騎士に撃ち出される刹那、黒騎士が片膝をついて石畳に剣を握った右拳をスッと置く。そこにはエリミリアの暴走魔法陣とは異なる青い魔法陣が描かれ、同時に左手で魔結界を展開。魔法陣と魔結界のダブル防御壁に阻まれた暴走メラゾーマの火力が減殺され、黒騎士の装甲に届くも、先程の威力には到底届いていなかった。
(はぁ!? 磁界シールド!?)
 最前線で剣を振るうタイプの相手が予想外の特技を使ってきたことで、エリミリアの注意が一瞬そちらへ逸らされる。魔女相手に遠距離戦は避けたい黒騎士がその隙を見逃すはずもなく――次の詠唱が終わる前には、眼前でフォトンサーベルが振り上げられていた。

〜7 灰色の港町⑤へ続く〜
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