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紅蓮の羅刹王

マユラ

[マユラ]

キャラID
: HF944-321
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: ストームカイザー
レベル
: 140

ライブカメラ画像

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マユラの冒険日誌

2026/05/01 21:48 (2026/05/01 21:50 更新)テーマ:その他

ウェナの碧い海と蒼穹の執事

16 孤高の道を征く者達①

 それは、何年前のことだっただろうか。
 魔導戦艦バルデアス、魔女の寝室――黒いバスローブ姿のエリミリアが鏡台の前に座って長い髪をブラッシングしており、その背後では出入口の扉を背にしたメギウスが黒いスリーピーススーツ姿で直立していた。
 エリミリアが鏡に映る自身の金色の瞳を見つめ、まつ毛の上がり具合を気にしながらも、背後のメギウスへ何気ない調子で問いかける。
「魔晶核の精製は安定しそうなの?」
「おかげさまで。素材の親和性さえ規定値に収められれば、後の調整は十分できますよ」
「ふうん……やはり恐ろしいくらいに優秀ね、メギウス」
 鏡越しに自慢の教え子へ視線を送り、エリミリアが薄く微笑む。一方のメギウスは無表情のまま、ゴールデンブロンドの髪が波打つ後ろ姿に冷徹な声を投げる。
「問題は素材の出処だと思いますがね。先生が確立した魔装理論の元となる理力の杖もそうですが、伝説の鉱石とされる青鍛鋼――そう、ブルーメタルの欠片です。果たして先生は、それらを何処で手に入れていらっしゃるのか」
「んっん〜、稀にマジックアーマーと一緒に現れるシーホライズンが落とすやつ?」
 とぼけた調子のエリミリアに、若干の苛立ちを滲ませながら言葉を返すメギウス。
「ごまかされませんよ、それはブルースチールです。……貴方がた出資者側には感謝していますし、先生には魔導技術を授けてくれた恩もあります。しかし、何故素材の出処を頑なに開示しようとしないのです? 私が独自に動くことで、何かそちらに不都合でもあるのですかね」
 ここでようやくエリミリアが鏡から視線を外し、メギウスへと向き直る。しかしその顔からは薄い笑みは剥がれておらず、彼女は生徒へ言い聞かせるように、ゆっくりと艷やかな唇を動かす。
「あのね……前にも言ったけど、教えたところで理解できない事象なのよ。君は魔導技師としては既に超一流なんだし、そっち方面の研究に打ち込めればそれでいいんじゃない?」
 金の瞳と深紅の瞳がしばし見つめ合い、やがてメギウスが諦めたようにため息をつく。相変わらずではあるが、エリミリアが素材の出処について具体的に言及することは一切ない。小馬鹿にされているのかとも思ったが、どうも半ば本気で言っているらしいことは、これまでの師弟関係からもよく分かる。
「……分かりました、今日のところは失礼します。だが、私は諦めたわけではない。このメギウスに核心を隠したまま、利用できるなどとは思わないことです」
 メギウスが寝室を後にし、後ろ手で扉を閉める――思えばこの頃から、彼は〈黒騎士〉としての自分を想定していたのかもしれない。

「ふぅ……君が私に剣を向ける理由は、それしか思いつかないのよね」
 魔女のハットを深く被り直したエリミリアが、飲み終えたコーヒーカップをカチャリと置く。メギウスが今度は楽しげな笑みを見せながら、
「貴方が持ち込んできた〈とある咎人の欠片〉とやらを精製した魔晶核による魔装〈ノワール・ゼロ〉の力……そして、飼い犬だと思っていた相手に噛みつかれた気分は如何でしたか?」
「よくもまあやってくれたと言っておきましょう。ただ私を殺したところで、君の疑問が全て晴れるわけでもないでしょうに」
 エリミリアの置いたカップを下げるかのように手を伸ばしたメギウスの手には、翠色の刃の短剣が握られており――おもむろにそれをデスクに突き立てた彼の顔には、既に先程の笑みなど浮かんでいなかった。
「貴方が死ぬ?……冗談でしょう。まあ無力化でもしておけば、貴方の手持ちの資料から幾らか情報が得られたかもしれませんがね」
 メギウスからはハットに隠れて見えなかったが、目の前に短剣を突き立てられたエリミリアは、まるで人形のように無機質な表情をしていた。そのままメギウスをブラックオニキスのネイルでスッと指差し、
「……そう、残念だわ。優秀な生徒とお別れしないといけないのは、とても悲しいことよね」
 指先に集中する暗黒魔力がメギウスに向けられるも、彼は短剣を握ったまま微動だにしない。
「指先のドルマですら、キラーマシンの頭部をいとも容易く破壊する。ノワール・ゼロでない私が受ければひとたまりもないでしょうね」
 何かの拍子で均衡が崩れれば、恐らくはどちらかが死ぬ――実際は極めて短い時間であったと思われる静寂を破ったのは、アズール・ドゥジエムとしての使命を果たすべく現れた魔装操者、ゼーエンが扉を勢いよく開いた音であった。

〜16 孤高の道を征く者達②へ続く〜
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