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紅蓮の羅刹王

マユラ

[マユラ]

キャラID
: HF944-321
種 族
: オーガ
性 別
: 女
職 業
: 武闘家
レベル
: 140

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マユラの冒険日誌

2026-05-07 22:23:24.0 テーマ:その他

ウェナの碧い海と蒼穹の執事

17 魔物商人ウングラ②

 果たしてセバスはシキョウの手により、再びルクスガルン大空洞前に飛ばされていた。辺りを見回すも、ダークパンサーの群れやキラーマジンガ隊の姿は既になく、先程までの激闘が嘘のように静まり返っている。魔法戦士団の渡し舟が残されていることから、彼らが撤退を選ばなかったことだけは確かであった。
(ダークパンサーの群れは全滅……レゼールさん達は、キラーマジンガ隊が大空洞へ侵攻した後を追ったのだろうか)
 自身も大空洞の中へと向かうセバスの足元に、何か黒い物体が闇夜に紛れつつも転がっているのが見える。気になった彼がしゃがみ込むと、それはシキョウの呼び出したツクモモンであった。
「君はシキョウの……酷い傷だ」
 セバスが抱きかかえたツクモモンは、全身に切り刻まれたような傷を負わされていた。息も絶え絶えの様子だが、ほんの僅かにぷるぷると動き出す。
「ボクはかえるだけだから、だいじょうぶだモン……それより、あのまほうせんし、きをつけて……」
 そう言い残し、ツクモモンは黒い瘴気となって消滅する。通常のモーモンと違い、シキョウが召喚した幻魔であるツクモモンが生物学的な死を迎えることはなく、その魂は召喚主の元へと帰還する。
(キラーマジンガ隊に手出しでもしたのだろうか……このモーモンも言っていたが、やはりレゼールさん達に危険が迫っていると見て間違いない)
 底が見えない大空洞へ足を踏み入れたセバスがまず感じたのは、あまりにも濃密な死の気配であった。名状しがたい何かがセバスの第六感を冷たい手で撫でるかのような、恐ろしい予感が彼の頭にこびりついて離れない。
 流れ落ちる地下水脈の音でそれを振り払おうとしながら、下りの傾斜がカーブを描いている洞穴内を注意深く進んで行くと――更に地下へ進む手前の開けた地点で、ヴェリナードから派遣された二名の魔法戦士と三名の衛士が、おびただしい血の海に沈んでいた。
「何ということを……!」
 最悪の予感が的中し、思わず目を背けそうになるセバスだが、その気持ちをぐっとこらえて凄惨な状況を確認する。遺体はいずれも恐怖で凍りついた表情であり、そこに残されていたのは明らかに大型のメイスやソードによる痕跡であった。
(既にキラーマジンガ隊の姿は見えない……更に奥まで進んでいるようだが、彼らは何故襲われなければならなかったのか。それに……レゼールさんは何処へ?)
 遺体へ祈りを捧げた後、再びセバスが洞穴を奥へと進む。光るキノコでぼんやりと照らされた傾斜を抜けた先で、彼は件のキラーマジンガ隊が背を向けて停止している姿を発見した。
 反射的にサッと物陰に身を隠したセバスが様子を伺うと、先頭のキラーマジンガと向かい合っている人物の姿が遠目に見て取れる。深紫のフードマントにカラスのような黒い仮面を被ったウェディの男は、セバスが知る特徴の人物にあまりにも当てはまり過ぎていた。
(あれは魔物商人の頭目……ウングラ!)
 メギウスの命を受けて動いているキラーマジンガ隊からしてみれば、ウングラは倒すべき最大の敵であるはずだが、キラーマジンガも二体のキラーマシン2も微動だにする様子がない。戦団が派遣した三体の殺戮機械を前に、ウングラと思しき男が語り始める。
「流石は機甲戦団ガイデスが誇る魔神機、ダークパンサーの群れをものともしない……スカウトアタックでコードを書き換えて、こちらに引き込めたのは幸運だったがな」
 スカウトアタック――魔物使いや道具使いが操る、魔物を仲間に加えることができる特技である。対象がマシン系の場合は道具使いのそれが有効であり、つまりウングラは道具使いとしてのスキルも有しているということになる。
(流石は魔物商人の頭目、これは厄介ですね……やはり、私がこの手で破壊するしかないのか)
 セバスがキラーマジンガ隊との交戦の可能性を視野に入れ、瞬時に脳内でシミュレーションを行う。もっとも、その時は意外に早く訪れるのだが。
「ヴェリナードの連中も容易く叩き潰してくれたおかげで、こちらも商品を消耗させずに済んだというものよ。もっとも、あの程度の連中なら俺一人で十分だったわけだが……そこのお前も、そう思わないか?」
 最初からこちらの所在は判明している――もはや隠れているのは無意味と悟り、セバスが男の前に姿を現す。深紫のフードマントの男を指差し、
「その姿……貴様が魔物商人の頭目、ウングラか」
「そう言うお前は機甲戦団の者か。ウェディ同士仲良くしようぜと言いたいところだが、お友達ごっこをやっている暇はなさそうだな」

〜17 魔物商人ウングラ③へ続く〜
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