20 Secret of Evolution③
「ゴアアアァァァァーッ!!」
おもむろに立ち上がったウングラが交差した両腕を解き放った時、巨獣を中心に禍々しい深紫の爆雷がドーム状に展開。紙一重の差で範囲から外れたセバスとメギウスの眼前で、一歩遅れたゼーエンが爆雷に飲み込まれてしまう。
「ぐあぁっ!」
紺碧の魔装が凄絶な電圧で弾け飛び、ゼーエンが全身から黒煙を噴き出しながらその場に倒れ伏す。それを救出しようとセバスが駆け寄るも、後一歩のところでウングラがゼーエンの体を片手で軽々と拾い上げ、
「グッハッハッハ、惜しかったなぁ……お前達はそこで、ゼーエンがバラバラになるのを眺めているんだな」
大気を震わせる声でウングラが勝ち誇りながら、ゼーエンを握る手に力を込める。たちまち紺碧の魔装がひび割れ、骨がきしむ音が生々しく響き渡るその惨劇は、常人であれば耳を塞がずにはいられない残虐な交響曲を奏でていた。
「あ、うがあああぁぁ……っ!!」
ゼーエンの苦悶の叫びが空洞内をこだまする――が、それは長くは続かなかった。握り締めた拳に蒼い閃光が走り、たまらず手を離してしまったウングラの目線の先には、ウェナブルー・クラッシュの斬撃波を既に放ち終えていたセバスの姿があった。
「外法を用いて己が弟を容赦なく殺めんとするとは、やはり貴様こそ真の外道!」
セバスがビシッと指を差して口上を述べるのは、ヒーローとして見栄を切るためだけではない――拳を穿たれたウングラの憎々しげな目がセバスへと向けられているその隙に、メギウスが落下したゼーエンを首尾よく救い出していた。
(流石はセバスさん、私がどう動くかを十分に理解している。やはり私の手元に居ないことが非常に惜しまれますね、アズール・プルミエ)
「フン……命拾いしたな、ゼーエン。だが俺を倒すにはまだまだ足りない上に、お前はもはや使い物にはなるまい。そら、こうしている内にも俺はどんどん再生していくぞ?」
剛獣鬼の切り裂かれた傷跡が徐々に塞がりつつあり、かつゼーエンを欠いた状態で火力を出さねばならないという明らかに悪化した状況の中、メギウスが地面に手をついて黄緑色に淡く光る魔法陣を展開する。
「このメディカルデバイスにゼーエンさんを置いた状態で、私はしばらく彼を守りつつ戦わねばなりせん。その間、かつてのように最前列をお任せしてもよいですかね」
魔法陣――メディカルデバイスに横たえられたゼーエンの体が粒子に包まれ、少しずつだが紺碧の魔装が回復の兆しを見せる。それを確認したセバスは、メギウスの依頼に頷いてみせるのであった。
「かしこまりました。では、守りはお願いします」
言うが早いが、既にセバスの姿はそこにはなく――再び上空から流星のように閃くウェナブルー・アルシオンが先程と寸分違わない箇所を袈裟に切り裂き、そのスピードに対処しきれないウングラが苦悶のうめき声を上げる。ならば着地を狙わんと巨大な拳を振り下ろすも、今度はセバスの拳をまとう青白い闘竜の牙――ウェナブルー・エリュシオンが天に昇るが如く食らいつき、魔装のオーラと竜闘気が織り成すV字を鮮やかに刻みつける!
〜20 Secret of Evolution④へ続く〜