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紅蓮の羅刹王

マユラ

[マユラ]

キャラID
: HF944-321
種 族
: オーガ
性 別
: 女
職 業
: 武闘家
レベル
: 140

ライブカメラ画像

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マユラの冒険日誌

2026-06-09 22:25:58.0 テーマ:その他

ウェナの碧い海と蒼穹の執事

21 Kill me till the end③

(あれから俺は機甲戦団ガイデスの理念を知り、その先陣を切って戦うマスターの崇高な思いをも理解することができた。何者でもなかった俺に生きる場所と目的を、そして今も身を挺して再び命をくださったあの方のためにも、俺は結果を出さなければならない!)
 ゼーエンが残された力を振り絞って紺碧のオーラを高める隣で、セバスがもがき苦しむウングラの現状を冷静に分析する。ノワール・ゼロのようなスキャン機能こそ実装されていない旧型魔装ではあるものの、自身の知見と戦闘勘さえあれば彼には十分であった。
「ゼーエン、一つ分かったことがあります」
「何だ先輩、手短に頼むぜ?」
 今にも攻め込まんとする勢いのゼーエンが、それでも一定認め合っているセバスの言に耳を傾ける。
「では結論を――小出しにはせず、全力で技を叩き込んでください。ウングラの超回復は明らかに遅くなっている」
 言われてみれば――ゼーエンもまた落ち着いてウングラを見やると、確かに後から与えた傷の回復が著しく遅いことが見て取れる。事実、先程のタイダル・スクラッチやウェナブルー・アルシオンのダメージが残ったままになっており、その威力は確実にウングラを苦しめていた。
「――で、奴にとどめを刺す手立てはあるのか?」
「賭けにはなりますが、一つ考えがあります。何分初めてのことですので、少し時間を要しますが」
「分かった、俺が倒れるまでに頼むぜ」
 自身もレミエル戦で賭けに出て勝利を掴んだゼーエンが、セバスの返事を待たずに巨獣へ向かって駆け出して行く。この時点でようやく持ち直したウングラもまた、肉体を襲う違和感に気づきつつあった。
「グゴゴゴ……どういうことだ、力が入らん……!?」
「それがお前の死ぬ時だってことさ、クソ兄貴!」
 苦し紛れに振り下ろされた巨大な拳を難なく掻い潜り、跳躍したゼーエンが双爪を振り上げる。クロスさせた碧刃が深く切り裂いたその傷口からは紫の鮮血のみならず、禍々しい同色の瘴気が噴き出していた。それに気づいたゼーエンが巻き込まれまいと即座に間合いを離し、
「魔瘴だと!? 一体何を考えてやがる、兄貴!」
〈魔瘴〉――人が触れればたちどころに命を失うが、魔物が触れるとその力を何倍にも増すとされているその物質を、ウングラが巨獣への進化に用いた秘薬を通して取り込んでいたことは明白であった。
「ウェディという種など、とうに超越している! この力さえあれば、俺はこの世界すら手中にできるのだ!」
 膨れ上がった肉体から魔瘴をまき散らしながら、ウングラが再び全身に紫電を轟かせる。それでも果敢に攻めようとするゼーエンだが、背後から力強い何かを感じ取る。振り返った目線の先には――
「離れてください、ゼーエン!」
 ウェナブルーの魔装が蒼穹のオーラと青白い波動のグラデーションを描き、凄まじい輝きを放つそれらを右拳に一点集中――魔装本来のパワーに闘竜の籠手が宿す竜闘気をミックスし、今や両者は完全な融合を果たしていた。
(今の私にできる最大出力……奴が綻びを見せた今こそ、全てをぶつける時!)
 あまりにも強大なエネルギーの凝縮を前に、深紫の毛皮が総毛立つウングラ。負けじと紫電のエネルギーを口腔に収束し撃ち出さんとするも、セバスの一閃が轟く雷鳴を超える!

「これで最後だ! ウェナブルー・インパクト!」

 今や蒼穹の神竜と化した拳が、吸い込まれるようにウングラのボディを打ち抜く!
 一瞬の無音、そして巨獣の体がひび割れ、そこから蒼い閃光が魔瘴を上書きするかのように溢れ出し――打ち込まれた神気の暴走に耐えきれなくなったウングラが爆発四散する光景を背に、セバスは既に歩き出していた。
「ふん……やるじゃないか、先輩」
 魔装を解いたゼーエンがニヤリと笑う中、持てる力の全てを出し切ったセバスもまた魔装を解き、金縁眼鏡のブリッジを指で押し上げてみせる。
「貴方には申し訳ありませんが、お兄様には私の全身全霊を叩き込ませていただきましたよ」
「俺もあいつも、互いを家族だなんて思っちゃいない。むしろ俺の手でとどめを刺してやりたかったぜ」
 両雄がすれ違う瞬間、どちらともなく右手を掲げ――パン、と心地よいハイタッチの音が空洞内に鳴り響く。後は意識を失っているメギウスを回収し、今も戦い続けているシキョウやアーシュラと合流すれば全てが終わる――そのはずであった。

「やってくれたな、貴様ら……だが、俺はまだ倒れてはいないぞ……」

 二人が振り返った時、そこには朽ちたかのように無残なファントムマント姿で立ち上がらんとしているウェディの男――魔物商人の頭目、ウングラの姿があった。

〜22 それは影のような夢①へ続く〜
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