ver5.5後期クリア後までのネタバレ
捏造設定
カップリング 主人公(男)xナラジア
こんなif見たいよね。って公式の掲示板に書いちゃうことに意味がある。多分。
「ナラジア、よろしくね。私はイルーシャ。」
大魔王の城の一室で、ナラジアと瓜二つの美しい女性が挨拶をした。
「イルーシャ…。」
ナラジアはその名前に聞き覚えがあるような気がした。
「立ち話もなんだから、どうぞ座って。…エックスから、あなたも記憶喪失だって聞いたわ。」
「え、あ、ああ…。自分の名前しか思い出せないんだ。もしかして、君も?」
「そうなの。それに顔もそっくりで、同じいばらの腕輪。わたしたちきっと関係があるのね、…。」
イルーシャは困ったような顔でチラリと部屋の扉の方を見た。この会話を、扉の前で立っている大魔王エックスが見張っているのである。
エックスがふたりのことをなにか知っているであろうことはイルーシャも察しているようだ。
「俺は気にせず、続けて。」
エックスが促すと、イルーシャはまた困った顔でナラジアに視線を戻した。
「わたし、絵を描くのが好きなの。あなたの話を聞いてから、一緒に描いてみたいと思って。」
「一緒に?」
イルーシャは机の上にあったスケッチブックを開いてみせた。
「うん。もしかしたら好きなことも似てるんじゃないかって…何か思い出すかもしれないし。」
パラパラとめくると、精細な筆致の風景画が次々に現れた。ナラジアは目を丸くして、その作品たちの美しさに見惚れた。
その様子を見てイルーシャは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「例えば…そうね、そこにいるエックスを描いてみない?」
かくしてナラジアはスケッチブックと鉛筆を持たされたが、その状態で固まってしまった。見かねたイルーシャに言われるがまま震える手で線を引いていく。スケッチブックを覗きこんであれこれ話し合う銀髪のふたりを、エックスはしばし生温かい目で見つめていた。
そして。
「これで完成ね。ええと…とても味わい深い絵だわ。大魔王のオーラを感じる。」
「そうかな…?」
「ええ。エックスに見せてみようか。」
「いいけど…。」
ナラジアはスケッチブックを抱えてしずしずとエックスに近寄った。僅かな期待を胸に抱くエックスに向けて、ナラジアは気恥ずかしそうに完成した作品を広げて見せたーーー
「…エックスッ?!」
イルーシャの悲鳴のような呼びかけに、エックスは意識を取り戻した。後ろの扉に頭をぶつけたらしく鈍い痛みが響き、エックスは頭を抱えながらよろよろと起き上がった。
「よかった。急にふらついて倒れるんだもの。ナラジアの絵がそんなにショックだったなんて…。」
「ううっ。確かに上手くはないけどさ…。」
ナラジアは閉じたスケッチブックをイルーシャに返してしゅんとしていた。
「今日はありがとう、イルーシャ。楽しかったよ。でも僕に絵は向いてないみたいだ…壊滅的に。」