ver5.5後期クリア後までのネタバレ
捏造設定
カップリング 主人公(男)xナラジア
そろそろこのタイトルにしたことを後悔してきました(´・ω・`)
回復の泉は高いので、このエックスくんはまだ買えてません。
よく、夢を見た。
異界滅神ごとナラジアを滅ぼしたような気がしたが、実はそんなことはなく。
滅神の呪縛から無事に解き放たれたナラジアと、平凡な友情を育むという夢だった。
エックスはいつも、その夢を見ると安心した。異界滅神との戦いで犠牲になったまだ幼さの残る青年など居なかったのだと。姉の「人と生きたい」願いを叶えるために最後の命を散らした青年など居なかったのだと…。
…エックスは自宅の庭に野ざらしで置かれたベッドで目覚めた。
そして、夢が夢であったことを認識してから、アビスジュエルに位置情報を入力して魔界へと空間移動を行った。
「あ!おかえり、エックス、」
見張りの兵士に挨拶をしてから、エックスが大魔王城の自室の扉を開けると、そこに間借りをしているナラジアが声をかけてきた。
ナラジアはノートに日記か何かを書き留めているようであった。
「僕ね、絵は向いてないみたいだから、小説を書こうと思って。」
机に向かうナラジアにエックスはずかずかと向かっていった。
「完成したら君にも読んでもらいたいなって…。えっ?!」
ナラジアは硬直した。
それもそのはずで、エックスが椅子に座るナラジアの肩を抱いたのだ。
身動きを防がれたナラジアはペンを取り落とし、困惑の表情を見せた。
「えーと…。どうしたんだい?エックス。」
「…しばらくこうしてていいか?」
「あぁ…。いいけど…。」
エックスがナラジアを固く抱きしめたまま、二人の間に気まずい時間が流れた。ナラジアは突然エックスがこんな行動をする心当たりがなかった。
「…。」
エックスがその肩に回した腕を、ナラジアは握った。ナラジアの複雑な感情をよそに、エックスはその場から動かなかった。
しばしの沈黙の後、エックスが口を開いた。
「赦してくれ。」
そう囁くように呟いた。
ナラジアは困惑し、なにか言いかけて結局口を閉じた。突然抱きしめてきて、いったい何を赦せというのかーーー。
きっと記憶喪失のナラジアが知らない「かつて」の話なのだろうと察しはついたが。
「…赦してくれるか?」
エックスは繰り返した。ナラジアは仕方なく…この異様な状況から解放されるために、首を縦に振った。
「うん。うん…エックスは…何も悪くないよ。」
ナラジアは精一杯、その言葉を絞り出した。それでやっと、エックスは拘束を解いてナラジアから体を離した。
「ありがとうな。」
ナラジアが背後を振り向いてエックスの様子を伺うと、エックスはばつが悪そうに視線を逸らした。
「ごめん。急に…びっくりさせたか。」
「うん…。」
びっくりしたのは事実なのでナラジアが言葉を濁すと、エックスはその場を離れて荷物の整頓を始めた。
…ナラジアは確かにエックスの手によって滅ぼされた。だが、今の世界にはナラジアがいる。
それはエックスが願い、禁断の手法を使って世界を滅神の討伐以前に巻き戻したからだった。
果たしてどちらが良かったのだろう?
二度と叶わないナラジアと友人であり続ける夢に何度もうなされることと。
何もわかっていないナラジアを、救うすべもなく自室に軟禁しつづけ、問題を先送りにすることと。